身近な新聞紙は、子どもの遊びに最適です。
天候が悪くて外遊びができない時など、室内でどのように遊ばせようかと悩みますね。
新聞紙を使えばょっとした工夫で、いろいろな遊び方ができます。
折り紙のように落ち着いて、造形を楽しんだり
友達と一緒に、にぎやかにゲーム感覚で遊んだり
そして、室内であっても運動遊びとしてダイナミックに遊ぶことができます。
なにより安全であること。
エコであること。
いろいろ形が変化させられるから、遊びがどんどん発展できる。
つまり子どもの発達に応じた遊びが楽しめる。
新聞紙の特性を生かせば、とても楽しい遊びが展開できます。
室内でも、友達と一緒に、思いっきり体を使って遊ばせたい!
そのような保護者や保育者の思いに応えて、
保育者歴38年の私が厳選した、新聞紙ビリビリの遊び方をご紹介いたします。
新聞紙ビリビリ遊びの方法と育ち
新聞紙を破っていいよと伝えると、子どもたちは、はじめは「えっ?」という表情をします。
しかし、恐る恐る破ってみて、ビリビリという音や感触にワクワクしてきます。
いつもならば、物を大切にしなければだめだと言われているのに、
今日はそれが許されて、新聞紙を破っていいのです。
新聞紙ビリビリ遊びは、遊びの大きな要素の一つである「ワクワク」感を味わうことができるのです。
新聞紙ビリビリ遊びは、指を使って脳に刺激
新聞紙を破くには、指先を使います。
一枚の新聞紙を破ってみる時は、あまり力がいらない。
でも思ったような形にはちぎれない。
そこで、とにかくめちゃくちゃに破ってみる。
何も考えずに破っていくうちに、
破れた新聞紙の切れ端が面白い形になっていることを発見する。
「これは、象みたいだ」「こっちは、ペンギン!」

新聞紙一日分を重ねたままで、破ってみることはできるかな?との投げ掛けには
かなり力がいりそうだと判断して、「難しいよ」と子どもたち
でも両手で新聞紙をしっかり掴んで、破れたならば十分な満足感を味わえるでしょう。
指先に力を込めて、分厚い新聞紙をビリビリにすることはストレス発散にもなります。
新聞紙に縦と横があることに気づいて、ビリビリ破ってみたら
横ビリビリならば、かなり指に力を入れないと、思った形には破けない。
そして破れた新聞紙の形はバラバラで、大小さまざまになることに気付くでしょう。
ところが、新聞紙の縦(紙の繊維に沿う)に裂いてみると、
何枚も重なった新聞紙が、縦長にきれいに細くちぎれるから不思議です。
子どもたちから「わー!すごい」と歓声があがること間違いなしです。
一枚の新聞紙でも、横にちぎった時には思うようにちぎれないのに、
何枚も重ねているのに、縦長ビリビリは楽。
新聞紙をビリビリにしていくコツをつかんで、夢中にちぎっていくと
気付いた時には、ビリビリ新聞紙が山のようにできあがっています。

このように手先を使って新聞紙をビリビリすることは、
身体の末端神経を発達させることになり、脳の発達につながっていくと言われています。
新聞紙ビリビリ遊びでできた様々な形は、想像力豊かに
一枚の新聞紙をビリビリと破った時にできた形を見て
「こんな形ができた!」と、子どもたちはイメージを膨らませます。
何枚にも重なった新聞紙を縦長にビリビリと裂いていくと
これは「雨だよ~」
新聞紙が束になったままの状態で、頭の上に放り投げては
上からパラパラと雨のように落ちてくる新聞紙を受け止めて、
雨降りごっこ遊びに想像力は膨らみます。
もしこれが冬ならば
ビリビリしてできた新聞紙のたくさんの切れ端が、
ハラハラと舞い落ちてくる様子を見て
「雪だよ~」となるはず。
ビリビリに裂いた新聞紙の形状によって、子どもたちのイメージは様々に膨らみます。
つまり、新聞紙ビリビリはハサミでカットした時とは違って
同じ形なんてできないのです。
それだけに、想像力を豊かにする遊びと言えます。
新聞紙ビリビリから、様々な遊び方に発展
新聞紙は軽い。
新聞紙は失敗しても、たくさんある。
だからビリビリ新聞紙は、形を変えながら遊ぶことがたやすいのです。
新聞紙を寄せ集めて、ギューっと雑巾絞りをすれば紐のように長くなります。
途中ちぎれそうならば、セロテープで補強すればいい。
紐になったものを長いままで床に置いて形作りをすれば、鬼ごっこの陣地になり
丸く輪っかにすれば、輪投げ遊びというようにゲーム遊びの材料になります。
ビリビリ新聞紙をビニール袋に詰めると、大きさ自由のボールになり、
雪合戦や的あて遊びができます。
大きなビニール袋二つに詰めて重ねたら、雪だるまができます。
ビリビリにした新聞紙は、形を変えやすいために
子どもたちの発想力や創造力をとっても豊かにしてくれます。
補強に使う材料も、セロテープ、ビニールテープ、輪ゴム、ビニール袋
いずれも身近な素材ばかりです。
新聞紙ビリビリ遊びは、友達と一緒に、ダイナミックに
友達と一緒にビリビリと新聞紙を破っていくと
さあ、どちらのビリビリ山が高くなるかな?と競争して盛り上がります。
その新聞紙のビリビリ山を両手に抱え、友達めがけて投げつけると大盛り上がり。
部屋中が新聞紙だらけの海になってしまいます。
新聞紙の海に飛び込んで泳いだり、
友達が寝っ転がっていると、その上に新聞紙の水をかけたりして
とってもダイナミックな遊びになるのです。
新聞紙は、ボールと違って、友達にぶつけてしまっても安全です。
部屋中に散らばったビリビリ新聞紙を段ボール板で囲ったら、プールです。
部屋中に散らばっている新聞紙を寄せ集めると、
新聞紙の容量が増えるために
その中にジャンプして潜ったりすることも可能です。
大型段ボールの中にビリビリ新聞紙を入れると、
お風呂のイメージとなり
みんながギューギュー詰めに入ったお風呂屋さんごっこです。
友達とイメージを共有して遊ぶことで、協同性は培われ
遊び方はより一層ダイナミックなものとなり
さらに、ストレス発散の遊びになります。
新聞紙ビリビリ遊びは、片付けも楽しく
大量に破られ、部屋中に散らばった新聞紙をどうやって片付けるか
大人であっても戸惑いの表情を見せます。
しかし、ゲーム感覚で行うと、本当にあっという間にきれいに片付きます。

えー?!
これ、全部片づけるの~
「だる~」と思っていたけれど
あっという間にきれいになって、
感動!!
(保育学科の学生の声)
一人一人にビニール袋を持たせて、
その中にビリビリ新聞紙を詰め込んでボールを作ってしまうのです。
この作業も競争です。
とにかく自分の持っているビニール袋を新聞紙でいっぱいにしようと
子どもたちは、部屋のすみっこの新聞紙も見つけ出し奪い合うように頑張ります。
散らばっている新聞紙の量に合わせてビニール袋の大きさを変えたらいいですね。
ギューギューに新聞紙が入ったら、口を輪ゴムで縛るか
テープで止めて、新聞紙が出てこないようにして、
新聞紙ボールの完成。
これはまた、違った遊びにつながります。

最終的には、残った新聞紙を丸めて、段ボール箱めがけて投げ入れます。
うまく箱に入らなくても、ゲーム感覚なので
拾っては投げ、子ども達は何度でも挑戦して
部屋もきれいになり、遊びは終了。
新聞紙ビリビリ遊びをする時に、気を付けること
子どもにとっては安全といえる新聞紙ですが、遊び方によっては危険も潜んでいます。
保育者や保護者のみなさんは、以下の点に配慮して、安全に楽しく遊べるようにしましょう。
- 床に散らばった新聞紙の上は、滑りやすいです。
新聞紙の海に飛び込んだり、新聞紙の上でジャンプしたりして遊ぶ時には、
転倒して頭を打たないように・・・あまり勢いをつけないような言葉がけが必要です。 - 部屋いっぱいに新聞紙を広げて遊ぶことは楽しいです。
しかしダイナミックな遊んでいると夢中になり、周りが見えなくなります。
周りに机やいすなどがあれば、ぶつかる危険性があります。
安全に遊べるよう、広い場の確保が大切です。 - 新聞紙が大量にあればあるほど、遊びはダイナミックで楽しいです。
しかし、新聞紙からは紙のほこりも出てきます。
もし喘息の子どもがいる場合は、遊び方に気を付け(新聞紙の山に潜ることは避ける)
部屋の換気を時々行いましょう。 - 昔の新聞紙に比べて、印刷技術も良くなりましたが
遊んだ後の手を見てください。
やっぱり、手は黒く汚れています。
しっかり手洗いをさせましょう!
本当に夢中になる、とっておきの新聞紙ビリビリ遊び
上記の新聞紙ビリビリの効果の中でも、様々な遊び方を紹介していますが、
その中から保育者激選の遊びをお伝えします。
周りにいる大人であっても、子どもと共に夢中になる遊び方です。
1 とにかく新聞紙を破る
たくさんの新聞紙が必要です。
指先を使って、手の全体を使って、とにかく目の前の新聞紙を破りましょう。
ビリビリ、バリバリ、シャリシャリいろいろな破る音を楽しみ
いろいろな形ができていることに気付き
少しずつ目の前に新聞紙の山ができていくことに期待感を膨らます。
これは、物を破壊する活動ですが、
日ごろ乱暴な行動を叱られることの多い子どもにとっては、ストレス発散!
溜まったエネルギーを発散!

2 体いっぱいに新聞紙を抱えて、放り投げる
持ちきれないほどのビリビリ新聞紙を抱えて、頭の上に放り上げます。
自分の頭に、パラパラ、バサッと落ちてくる。
「大変!雨に濡れちゃうよ」
友達めがけて、新聞紙の山をぶつける。
お互いにぶつけ合う。
ぶつけられないように、逃げる。追いかける。
チーム対戦にしても楽しいです。
当たっても痛くないからこそ、できる遊びです。


上記の写真は、保育学科の学生(保育者の卵)ですが、子どものようにはしゃいだ姿が見られました。
3 大きな段ボール箱に入れて、お風呂ごっこ
ビリビリ新聞紙がいっぱい入った段ボール箱をお風呂と見立てて入ります。
友達のそんな姿を見て、一人、二人と「仲間に入れて」
ギューギューになっても楽しい。
子ども同士、仲良く触れ合いです。
出入りで、新聞紙が外に飛び出すと
「大変!お水がこぼれたよ」と慌てて、散らばった新聞紙(お風呂のお湯のイメージ)を
段ボール箱に戻しています。

4 プールで思いっきり泳ごう!
部屋いっぱいに散らばった新聞紙の水
部屋いっぱいがプールになったような感じです。
子どもによっては、夏に行った海のイメージ。
友達と一緒に、ジャブーンと飛び込んで泳ぎました。
新聞紙の水だから、溺れる心配がありません。

5 ごっこ遊びのイメージ・・・ドラキュラ誕生!
新聞紙の山に隠れていたもの(ドラキュラ・おばけなど)が
みんなのカウントダウンで、飛び出してくるのです。
ハラハラドキドキ
中に隠れる子どもは交代で、楽しむ遊びです。

6 ビリビリ新聞紙で雪だるま作り
ビリビリの新聞紙を大きなビニール袋に詰めて、顔を表現したら雪だるまの出来上がり。
人の形にして、本物の洋服を着せてあげたら、素敵なぬいぐるみ人形にもなります。

7 新聞紙ボールで、運動・リズム遊び
ビリビリ新聞紙でボールを作ったら、投げて遊んでみましょう。
二人組になって、キャッチボール
みんなで円形になって、ドッチボール
下記の写真は、歌に合わせてボールを投げているところ。
子ども達の大好きな歌をゆっくり歌って
ボールを上に投げ上げたり
お隣さんに順番に回していくことも楽しいです。

まとめ
新聞紙は、身近にあるものであり、
子どもには安全に遊ぶことができる素材です。
ビリビリちぎって、それを様々な形に変えていくことで
子ども達の発達や思いに応じた遊びを展開していくことができます。
指や手を十分使うことで、脳へ刺激がいき、子どもたちの身体機能は高まります。
遊びを通して、創造性・想像性・協同性・運動能力が培われ
さらにストレス発散にもなります。
外で思いっきり体を動かして遊べない時など、
夢中になって遊ぶことができる新聞紙ビリビリの遊びを
子どもも大人も一緒に、ぜひ楽しんでみませんか。
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