イライラする子どもにどう接する?その原因と親ができる6つの対処法

問題行動

仲良く遊んでいたかと思いきや急に、周りの友達とぶつかる子どもがいます。
「なぜ、あんなことをしたの?」と注意したら「イライラした!」
その時は、しっかり話し合って納得したように見えても、また、同じような行動の繰り返し。
その子なりの思いがあり、「イライラしたから」と主張する。

イライラの原因はどこにあったのでしょう

繰り返し起きるこのイライラの行動に対して、どうしたらいいのか悩んでしまいますね。
他の活動に対しては理解力はある子どもであっても、イライラ行動起こし、場の雰囲気を壊してしまうこともあります。
周りにいるものは、いや~な気分になりますよね。
でも子どものイライラ行動の裏には、必ず原因があるのです。

私は38年間幼稚園に勤務、さらに現在、児童クラブで小学生低学年の子どもたちと向き合ってきています。
また、保育者養成短大では、学生(保育者の卵たち)と子どもの問題行動について考えています。
すぐにイライラしてしまう子どもが、周りの子どもたちと穏やかにコミュニケーションを取っていくためにはどうするか。
この記事では、イライラ行動の原因と対処法についてお伝えします。

大人も最近イライラしたからと、事件を起こすことが多くなってきているニュースをよく聞きます。
お子さんがイライラして問題を起こすと、親もついイライラして必要以上の叱り方をしてしまうことがありますパパやママも、どうぞ参考にして楽しい子育てをめざしましょう!

子どもがイライラする原因

イライラするのには、たくさんの原因があります。
またイライラの表現も、原因や発達の違いによって様々です。
具体的な例で、考えてみましょう。
パパやママ(大人)も同じかもしれませんね。
結果としては、この原因を取り除いてあげれば、きっとイライラは軽減・解消しますよ。

生理的・身体的な原因

〈空腹〉
赤ちゃんや幼児が泣いたり、ぐずったりするのは、「お腹がすいた」が多いですね。
大人ならば状況を判断して我慢もしますが、お腹が空くと年齢が低いほど、イライラしたり怒りっぽくなったりします。

〈排泄〉
おむつが濡れたら、不快感からぐずりだして、最後は泣いて知らせます。

〈眠気〉
眠いのにすんなり眠ることができない。ぐずぐず言ってしまいます。

〈疲れ〉
体は疲れているのに、しないといけないことがある。または、「~しなさい」と言われた。
そのことを親に分かってもらえないと、子どもは腹を立てたり物に当たったりします。

〈欲求不満〉
「おもちゃが欲しい」「ゲームがしたい」「外で遊びたい」など、子どものやりたいことができずシンプルな欲求が満たされない時には、よくあるイライラ・わがまま行動ですね。

発達段階的な原因

〈イヤイヤ期〉
2歳頃、成長発達の段階で、ほとんどの子どもはこのイヤイヤ行動が起こります
子育てを一生懸命している親としては、急に我が子が「イヤイヤ」と言い出すと、ちょっと戸惑うことがありますね。
しかし、自己主張できるようになったという成長の一つの姿なんです。

子どもの成長過程には【イヤイヤ期】があります。
もう少し詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
        ↓

〈思春期〉
自分を客観的に評価できるようになってきます。
さらに、現実と理想のギャップにも気付き、戸惑うようになる子どもがいます。
世の中の不条理を知り、何とも言えない不安に陥ってしまい、イライラや怒りが起きるのです。

心理的な原因

〈不安〉
本人もよくわからないけど、とにかくイライラ、モヤモヤするのです。
例えば、家庭でパパとママが喧嘩したり、ひそひそ話をしている。
引っ越しなどで家庭の中がごたごたしているため、自分の居場所がないなど、気持ちが落ち着かず身の置き所のないイライラです。
周りの物に当たって、自己主張する子どももいます。

〈ストレス〉
必要以上に指示されたりすると「なんで、ぼくばっかり!」という不満から、怒ってしまう。
自分は悪くないと思っているのに、友達や先生に文句を言われたり注意されたりということも考えられます。

〈自己表現できない〉
友達が楽しそうに遊んでいる時に、自分は仲間入りしたいのに素直に「入れて!」が言えない。
友達や親に指示された時、自分はしたくないのに「いや!」が言えない。
自分の思いを素直に表現できない時には、わざと違ったことをしたりすねたり、自分の思いとは反対の行動をとってしまいます。
ゲームや制作遊びをしていて自分の力不足だと知っていながらも、負けず嫌いな子どもは自分に対して怒ってしまい「もう、できん!」と腹を立てている子どもって、よくいますよね。

環境的な原因

〈騒音〉
大人にも同じようなことがよくあります。
自分が集中してゲームを楽しんでいる時に、話しかけられたり(これも本人にとっては騒音)、眠ろうとしていた時に、外から大きな工事の音がしたり、隣の部屋でお兄ちゃんがテレビを見て奇声をあげたりなど、これもイライラの原因になります。

〈刺激〉
単純な事なのですが、おいしそうな物が目の前にあって喜んで口に入れた途端、「熱い!」思わず口から出して、なんで冷ましてないのか!と腹が立ちます。
寝ようとした時、耳元で蚊の鳴き声。これもイライラ。

〈メディアの影響〉
暴力的・刺激的なメディアに触れることで、イライラや怒りの感情が刺激されてしまいます。

〈家庭環境〉
暴力的な親のもとで育てられたり、感情的な親の言動に振り回されたりすると、気付かないうちにイライラや怒りの強い子どもになってしまうことがありますね。

〈周りの環境の変化〉
家が引っ越しして、周りの環境がすっかり変わってしまった。
上記の心理的な原因の不安につながってしまいます。
幼稚園・保育所・学校で、自分が予想していなかった出来事があったり変化が見られたりした時なども、不安になってしまいます。

発達障がい・その子なりの特性が原因

〈障がい〉
ASDは、自閉症スペクトラム症・・・こだわりが強いため、ささいなことでイライラしたりキレたりしがちです。
ADHD・・・注意欠如・多動性・落ち着きがないため、衝動的な言動があり、そのため急にキレる場合が多いです。
SLD(LD)・・・一般的にLD(学習障害)と呼ばれる。
特定の教科の勉強が苦手で、まわりから「勉強が嫌いで、すぐにイライラする」と思われている。

専門的に診断を受けていない子どもでも、境界線にいる子ども、個性の強い子どもは、周りの雰囲気に馴染めずイライラしたり怒ったりと言うことが多くなりますね。

イライラのサインを見逃さない

〈表情、言葉、行動に出てくるサイン〉
・つねる。
・髪を引っ張る。
・物を投げる。
・人の話を聞こうとしない。
・暴れる。
・周りのものに当たる。
・泣き続ける。
・親をたたいたり、世話をしてくれる人に文句を言う。など

こんな行動が出てくる前には、必ず原因となることがあったはずですね。
ひょっとしたら、自己主張やわがままではなく、一生懸命に自分の辛さを訴えている〈助けてのサイン〉なのかもしれません。
子どもの普段とは違う行動を見逃さないでくださいね。

イライラする子どもに親ができる対処法

1 共感
「なぜ、イライラしているの?」と聞いてあげましょう。
子どもは、自分の思いを聞いてもらえたという事だけでも安心し、冷静になることが多いです。
もっともイライラが強い時には、答えを求めることすら難しいかもしれません。
そんな時には「イライラしているのね。わかるよ」と気持ちを受け止める対応をしてあげましょう。

2 落ち着く時間を作る。
子どもが泣いたり怒ったりしている時には、何を言ってもダメ。
「静かにして!」と大きな声を出しても、益々子どもの感情は高ぶってしまいます。
私は、保育中に子ども同士がトラブルを起こしたり、自分の思い通りにならずに手が付けられないくらい泣き叫ぶ子どもたちをよく見てきました。
そんな時には、周りの子どもたちから見えない所に連れていき、まず落ち着かせるのです。

T先生
T先生

B子とけんかをして泣き叫ぶA子
「幼稚園なんて、大っ嫌い!」「もうお家に帰る!」
B子とA子のトラブルの原因追及や話し合いなんて、こんな時には無理。
A子を静かな誰もいない絵本の部屋に、とにかく連れていきました。

泣き叫ぶA子の背中を撫でてやり、大きく深呼吸をするように促します。
もちろんT先生(保育者)も大きく深呼吸。
少しずつ、周りに目を向けさせ、B子とのけんかとはまるっきり関係のない話を切り出していくのです。
例えば、好きな絵本は?とか、朝は何を食べてきたか?とか。

そうしているうちに、憑き物が取れたかのようにすーっと落ち着くA子。
それから、ゆっくりけんかについて話を聞くことができて、A子のイライラも治まりました。

落ち着かせるもう一つの方法は、お水を飲ませてあげることです。
頭に血が上っている状況の子どもは、ギャ~とか叫んだりしたら喉も乾いているでしょう。
お水で頭を冷静に!
これはとっても効果的な方法です。

3 原因を見つけ、取り除く。
何が気に入らなかったのか、嫌だったのか、さまざまな原因があるでしょう。
親が優しく聞いてあげるだけで、子どもは原因が解消されなくても落ち着くものです。

4 ルールの認識で、安心感
きっと、自分なりのきまりを誰かが逸脱したからイライラしたのでしょう。
「本当は、こうすべきだよね」と確認してあげることで、安心して落ち着きます。

5 イライラのエネルギーを発散する方法をさがす。
イライラは、体の中にエネルギーがたくさんある証拠。
それがちょっとしたきっかけで、火山の噴火のように爆発してしまう。
そんなタイプの子どもには、日ごろからしっかりエネルギー発散をさせてやりたいですね。
戸外で思いっきり運動して気持ちを切り替えたり、おいしいおやつをお母さんと一緒に食べたりという方法も穏やかな時間を取り戻してくれます。

6 親もイライラしない。
原因のところに、親の態度が子どもの行動に影響することをお伝えしましたが、
子どものイライラに親がイライラ → 一層子どもはイライラ → 親はイライラの上乗せ
これって、イライラの負のスパイラルですね。
ババやママも、自分をケアしてくださいね。

イライラ行動に対してNGなこと

親として、我が子がすぐにキレたり友達といざこざを起こしたり、その結果イライラしている姿を見るのはとっても辛いことです。
だからと言って、お子さんの行動を捉えて「あれしなさい!」「これはダメ!」と要求しすぎると
逆効果です。

子どもだってどうしていいか分からないのだから、親からあれこれ要求されると、ますますパニックになって怒りを誘ってしまいますね。
まずは、子どものやり方を認めることから始めてみましょう!

上のような姿はありませんか?
【イライラしている子どもに、絶対に避けたいNG態度・言葉】

  1. 要求する
  2. 子どものやり方を否定する
  3. 頭ごなしに言う
  4. 子どもの悩みを軽視する
  5. 弾圧的な大声
  6. 決めつける
  7. 禁止する
  8. 理由をただす
  9. 突き返す
  10. 感情的な否定

まとめ

イライラしていると、周りの空気がとんがってきます。
自分だけの問題ではなくなるということで、子どもも親も悩んでしまいます。

子どものイライラには、様々な原因があります。
発達障がいのお子さんがキレやすいというイメージがありますが、それも違います。
問題行動のように見えるイライラも、発達の一つの成長の姿だということも考えられます。
感情を出せるということは「自分を受け止めてくれる人がいる」「安心している」という証拠かもしれません。

すべての子どもが同じように成長するわけではありませんから、子ども一人一人の個性や成長のペースに寄り添っていくことが大切でしょう。
専門的なサポートが必要なこともあります。
その子の特性を理解して、子どものイライラと向き合っていきたいですね。

さらに親のイライラが子どもに影響することも多いです。
子どものイライラに向き合う時、お父さん!お母さん!まずは深呼吸してみましょう。
これまで親として子どものために頑張っていること楽しい家族の思い出を振り返ってみてください。
大変な時もあった事でしょう。
今、子どもに向き合う時、完璧でなくてもいいのです。
自分のことを理解しようとしてくれている親に対して、信頼という絆が深まっていくように
お互いに、
イライラして「ごめんね」
分かってくれて「ありがとう」を言い合える穏やかな関係をめざしていきましょう!

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