冬でも思いっきり体を動かして遊んでほしいと思います。
室内でも安全に、友達と関わりながら遊んで、体がぽかぽかしてくるようなものはないかしら?
そんな時には、「すもう遊び」が最適なんです!
大した準備もいりません。
運動が苦手な子どもだって大丈夫です。
私は38年間幼稚園教諭として、子どもたちと関わっていました。
寒い時にはどうしても室内で、制作遊びやブロック遊びに偏ってしまいます。
でも、正月のお飾りのおもちを利用した『ねずみのすもう』のお話をしてからは、「ねずみ」や「すもう」のイメージが広がり、とっても意欲的な遊びになりました。
体力差があったり、突き飛ばしたりすると安全面は大丈夫なのかしらという心配は、ご無用。
いろいろなすもう遊びのやり方がありますよ。
大人も一緒に楽しむことができます。
冬の遊びに、ぜひ取り入れてみましょう!
『ねずみのすもう』から広がる遊び
きっかけは、『ねずみのすもう』の絵本だったり、人形を使ったお話遊びだったりします。
さらに、リズム遊びを一緒にしたりすることで、友達と一緒に遊ぶ楽しさがわかってきて、すもう遊びはより意欲的になってくると思います。
『ねずみのすもう』のストーリー
〈ねずみのすもう〉
むかしむかし、やさしいおじいさんとおばあさんが、小さな家で仲よくくらしていました。
ある日、おじいさんが山でしばかりをしていると、どこからか
「でんかしょ、でんかしょ」
という、ちょっとかわった声が聞こえてきました。
なんだろうと思ってのぞいてみると……
なんと、ねずみがおすもうをしていたのです!
ぽっちゃりして元気いっぱいのねずみ(庄屋さんちのねずみ)
痩せてちょっと弱そうなねずみ(おじいさんの家のねずみ)
痩せたねずみは、がんばってもいつも負けてしまいます。
それを見たおじいさんは、「かわいそうだなあ」と思って、家に帰っておばあさんに話しました。
するとおばあさんは、わずかばかりのもち米をかき集め
「それなら、このおもちを食べさせてあげましょう」
と、あったかくておいしいおもちを作ってくれました。
次の日、おもちを食べたおじいさんちの痩せたねずみがすもうをとると……
びっくり! 力がモリモリわいてきて、ぽっちゃりねずみに勝っちゃったのです!
庄屋さんちのぽっちゃりねずみは、目をまんまるにして
「どうしてそんなに強くなったの?」と聞きました。
痩せたねずみは、
「おじいさんとおばあさんが、おいしいおもちを作ってくれたんだよ。」
するとぽっちゃりねずみは、
「いいな、いいな~ぼくもそのおもちが食べたいな。そのかわりに、ぼくの家のお米を持ってくるよ」
と言いました。
その夜、おじいさんとおばあさんは、ねずみたちのためにおもちをつき、赤いまわしまで作ってあげました。
次の日、ねずみたちは赤いまわしをしめて、
「でんかしょ、でんかしょ!」と元気いっぱい。
それを見て、おじいさんとおばあさんは大よろこび。
そして庄屋さんちのぽっちゃりねずみは、お礼に小判を持ってきてくれるようになり、
おじいさんとおばあさんは、〈力持ちになるおもちやさん〉を開き、ずっとずっと幸せにくらしたのでした。
★ 子どもたちに話すときには、すもうの場面をおもしろく、二匹のねずみのやりとりをアドリブでするといいですね。
・「おいらの勝ち~」「へっへっへ・・・」
・「あーあ、また、負けちゃった~」「よーし、今度は勝つぞ」
・「もう一回いくぞ!」
・「がんばるぞ」
子どもの表情を見ながら、お話しましょう。セリフの繰り返しを喜びますよ。
子どもたちは、なぜ『ねずみのすもう』に惹かれる?
〈子どもたちの声から〉
・痩せたねずみが、負けても負けても頑張るところ
・”おもちを食べて力もち”という「もち」の表現がおもしろい。
・おじいさんもおばあさんも貧乏なのに、自分たちの食べるお米でねずみたちにおもちを作ってやさしい。
・庄屋さんちのぽっちゃりねずみも、勝ってもいばらない。何度でもすもうの相手をしてくれる。
・勝っても負けても関係ない。すもうごっこが楽しい。
・最後には、貧乏だったおじいさんもおばあさんもおもち屋さんになって、みんなハッピー!
↓
自分たちも「おすもう」してみたい!

先生が、ネズミのお人形を使ってお話してくれたから
おすもうがどんな感じか、よくわかったよ。
痩せたネズミは、ちゅーすけ
太ったネズミは、ちゅーた
2匹に名前を付けたから、おすもうする時
みんな「ちゅーすけ、がんばれ!」って応援して楽しかった。
『ねずみのすもう』から「すもう遊び」への展開
ねずみのすもうのお話は、すもう遊びの興味の入り口としてとらえています。
ねずみのすもうのお話をいっそう豊かにイメージさせるためには、人形を利用することもいいですね。
人形劇3選
1〈手袋人形〉
・軍手を利用して作りました。
・伸び縮みする素材を利用すると作りやすいです。
・色は何色でもOK。2匹が違う色であればいいのです。

2〈靴下人形〉
・手袋人形と同じく、頭の部分には綿が入っています。綿がばらばらにならないように、ストッキングに詰めてから、形を整えて頭部に入れいいですよ。
・すもう遊びは、かなり人形を動かしますから、目やひげなどが取れないようにしっかり縫い付けたり接着したりしておきましょう。もし取れたものを子どもが口に入れては大変です。

3〈牛乳パック人形〉
・簡単に牛乳パックで作ることができます。

牛乳パック人形については、こちらもどうぞ
↓
ちゅうちゅうねずみ(リズム遊び)

〈遊び方1〉
・二人組になって、向かい合わせになり両手をつなぐ。
・一人はねずみで立っています。
・もう一人はおもちでしゃがんで、両手をつないだままねずみに引っ張られていきます。
・1番『ちゅうちゅうねずみ ちゅうがえり~ おもちの上からちゅうがえり』のリズムで
・『おもちの上から』・・・立ち上がって、手をつないだままゆらゆら
・『ちゅうがえり』・・・両手をつないだまま、でんぐりがえりをする。(なべなべそこぬけの要領)
・2番『ちゅうちゅうねずみ ちゅうがえり~ みかんと一緒にちゅうがえり』
・1番の役を交代し、歌いながら、はじめの場所まで戻る。


背の高さが違うけれど
うまくひっくり返ったね!

上手にひっくり返らなくっても、あれれれ~と、笑いになってしまいますよ。

〈遊び方2〉
・手をつないで輪になる。人数は何人でもOK!
・ちゅうがえりでつないだ手を放さずに、全員が外向きになる。
・2番で、再び中向きになる。
・一人でも手を離すとダメ!
・みんなが心を一つにしないと難しいけれど、できた時の達成感はすごいです。
すもう遊び7選
1 しりずもう
イラストのように、手を組んで押し合いしてもいいし、写真のようにポーンとおしりで相手を枠から押し出してもいい。


★子どもの体力に合わせて、まずは保育者が組んでやり、少しずつ面白さに気づかせていくといいですね。

おしくらまんじゅうのように、みんなで押し合えば、体はぽかぽかです。

2 おしずもう
・手を出すタイミングを見計らって、ワクワクドキドキです。

3 バランスずもう
・押しずもうと似ています。
・両足を広げ、向かい合います。手をつないで、ユラユラとゆらし合います。
・足が動いたら、負け。
・力の差が出にくいため、すもう遊びに抵抗をもっている子どもも楽しめます。
4 タッチずもう
・相手の肩や背中に”タッチ”できたら、勝ち!
・向かい合って行います。
・枠の中で行い、追いかけるのではありません。
・ぶつかり合いの苦手な子どもも参加しやすいです。
★ お友達と一緒にするすもう遊びは、”押しすぎない” ”たたかない” などのルールで、力加減を学ぶことができますね。
5 タオルずもう
・タオルの端をお互いが持って、引っ張り合いです。
・手を離したら負け。
・引っ張り合いの微妙なバランスを楽しむといいです。
・直接ぶつからないから安全ですが、手を離された時に、はずみで倒れないように気をつけましょう。
6 影ずもう
・地面に映る自分の影を見ながら、同じポーズをとります。
・自分の影とすもうするのです。
・いろいろな技ができて、勝ち負けなしの楽しい表現遊びになりますね。
7 紙ずもう
・紙で作った力士を空き箱の上などで動かします。
・空き箱を軽くトントンと叩いて、相手がひっくり返ったら勝ち。
・あまり強く叩くと、自分の力士が倒れてしまうから気をつけて!
・すもうが苦手な子どもでも参加できますね。
「すもう遊び」で気をつけること

〈おすもうのルールをみんなで決めたよ〉
・押しすぎない
・たたかない
・つかまない
・痛かったらすぐに言う
1 安全面
・スペースの確保をしましょう。
子どものすもう遊びで怪我をするのは、投げ飛ばされたり押されたりした時に、そばにある道具棚の角にぶつかったりした時が多いです。周りにぶつかって危ないものがあれば、片付けておきましょう。
・すもうをするのは、マットの上というようなルールを確認しておくといいですね。
・すもうをする前に、子どもたちとルールを共有しておくことが大切です。
2 友達と組んで遊ぶためには、服装に気をつけましょう。
・すべって思わずあごや歯を打った、頭を打ったということが多いです。
すべらない靴下、もしくは靴下を脱いで遊ぶといいです。
・フードやひも付きの服は、引っ掛かりやすいです。
・もし、ねずみのお面や被り物をしている時には、小物が落ちても安全なものを使用しましょう。
3 勝ち負けにこだわらない。
・勝ち負けよりも、友達と一緒に力比べをして楽しむ遊びをしたいですね。
そのためには、ただ勝つことに一生懸命になるより、「思いやる」「楽しい」という気持ちが芽生えるよう配慮しましょう。
・ぶつかり合いがひどくなりそうな時には、大人が介入することも時には必要です。行司役です。
4 子どもの性格や体格を考慮しましょう。
・すもう遊びの種類を発達に応じたものにしましょう。
・取り組みの組み合わせも配慮がいります。
5 遊びを楽しいものにしましょう。
・興奮しすぎないように、短時間で区切った方がいいです。
・はっけよいのこった!のこった!などみんなで掛け声をかけ、何回かで終了というようなルールがあってもいいです。
6 気持ちのケアをしましょう。
・負けても勝っても楽しいすもう遊びであるべきですが、やっぱり負けたら泣く子どもがいます。
悔しいという気持ちに寄り添ってあげましょう。
「がんばったね」「応援すごかったよ」など、結果以外のことを認めましょう。
・勝った子どもには、相手にやさしい言葉がけをするように促すといいですよ。
「すもう遊び」で育つもの
〇 体のバランス感覚・ふんばる力など体力
〇 運動が苦手でも、挑戦しようとする気持ち
〇 友達とかかわる力(社会性の芽)やおもいやりの心
〇 ルールを作ったり、守ったりする力(規範意識)
〇 勝ち負けの経験を通して、様々な感情体験
〇 ねずみのすもうのお話からの発展では、想像力を豊かにし、役になりきっての表現力
指導案の一例
お話 → リズム遊び → すもう遊びに発展した保育の一例です。
上記の「すもう遊びで育てたいもの」の何がねらいになるかによって、活動はいろいろ変化できますよ。

まとめ
すもう遊びは、昔からよくしてきた遊びですが、近年、なかなか見ることが少なくなりましたね。
がっつり組んでするすもうは、体力の差があると抵抗をもつ子どもも多いです。
しかし、この記事では、そのような体力差や男女差、個人差関係なく楽しめるものを集めてみました。
すもう遊びだけをするよりも、『ねずみのすもう』のお話を読むことで、絵本の世界が遊びの世界にぐーんと広がっていきました。
そのことで、子どもたちの想像力・表現力が豊かに育ち、自分たちで遊びを作ってみようとより意欲的な姿が見られました。主体性の育ちです。
この記事では、簡単なすもう遊びをお伝えしましたが、ただ体の成長を願っているのではありません。
友達や先生(家では、お母さんやお父さんなど)と思いっきり楽しむことができれば、心の育ちにつながります。
勝ってうれしい、負けてくやしいという子どもの心に寄り添ってあげてください。
体の大きなお兄ちゃんに、しりすもうで勝ったことにもがんばりをしっかり認めてあげてください。
無理に参加させる必要はありません。
応援するおもしろさを味わわせてください。
相手を思いやる気持ちは、人間関係を豊かにしていくことでしょう。
寒い冬、ぜひ、すもう遊びで体をぽかぽかに!

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