【小学校入学前】自分の名前が書けたら大丈夫!文字への関心。これが大切!!

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小学校入学を楽しみに、ワクワクしている子どもたち。
しかし親は、小学校の勉強についていけるだろうかという不安がよぎります。
その中でも、ひらがなが書けないという悩みが一番多いのではないでしょうか?

自分の名前が書けるだけでいいのか?ひらがなを教えておこうか?
38年間幼児教育を行い、さらに放課後児童クラブの支援員として小学校教育に関わっている私が、保護者のみなさんのそんな悩みにお答えします。

さらに、お子さんが幼児教育とのギャップを感じることなく、喜んで小学校生活を送ることができるようになるための方法をお伝えします。

ひらがなは教えなくて大丈夫!

小学校の先生は、「変なひらがなを覚えていると正しい文字に修正することが大変!正しいひらがなを書けるようになるまで、とっても時間がかかる」と言われています。
変にひらがなを覚えているとは、書き順がめちゃくちゃだったり、鏡文字だったり、鉛筆の持ち方が間違っているということです。

小学校入学が近くなると、幼稚園や保育所、こども園でも小学校教育に向けての準備教育が始まります。しかし、これはひらがなを覚えさせたり、算数の足し算や引き算の練習をすることではないのです。

これを誤解して、入学してからが楽だろうと小学校の学習を前倒しに教育してしまうと、小学生になることを期待している子どもは意欲をなくしたり、小学校入学を嫌がってしまったり、また小学校に入学しても小学校生活にギャップを感じてしまうことになりかねません。

自分の名前が読める・書けるだけで大丈夫!!

ひらがなをすべて覚えておく必要はありません。
しかし、小学校は幼稚園や保育園のように先生が子ども一人一人に寄り添って支援をすることが少なくなります。生活面より学習面での指導が多くなるためです。
そのため、自分の道具棚、自分の机、自分の道具と友達の道具の区別などは、ひらがなでの記名が頼りになります。

せめて自分の名前が読めて、自分の席について落ち着いて授業を受けることができればいいのです。
先生が「お道具箱から ~を持っていらっしゃい」と言ったら、自分の道具箱を見つけることができればいいです。
同じ色のランドセルの中から、ランドセルの名前を見て、自分の物を間違えないで選ぶことができたらいいです。

幼稚園や保育所では、文字での記名ではなく絵やシールによって自分の持ち物だと判断していました。
小学校では、その自分のマークがひらがな表記になったということを、お子さんに認識させたらいいですね。

もっともひらがな習得に対しては、個人差が大きいです。どんどん読めたり書けたりできることにこしたことはありません。
ただ、ひらがなを覚えているという自信から、先走って先生の指示をきちんと聞かなくなるということもよくあります。まずは、新しいことを学ぶ喜びを味わわせていきたいものです。

入学までにひらがなを覚えていなくてもいい理由

本当に小学校入学までにひらがなを覚えていなくても、大丈夫なんでしょうか?
我が子が勉強についていけなかったらと不安ですよね。
でも小学校には、入学してからゆっくりひらがなを学ぶためのカリキュラムが組まれているのです。
子どもたちが喜んでひらがなを覚えるようになるための環境も揃っています。

先生たちは、子どもたちが正確にひらがなを書く方法を教えてくれます。入学してから数日で五十音順すべてを教え込むのではありません。
一日に一文字ずつというように、丁寧にゆっくり教えてくれるのです。
一日一文字としても入学して50日、つまり5月中には、子どもたちは喜んでひらがなが習得できるということです。

入学時にひらがながまったく書けなかったお子さんでも
6月頃には、早くから書いたり読めてたりしていた
お子さんとまったく変わらないくらいですよ。
むしろ、新しいことを学ぶ喜びを感じているのか、
とっても一生懸命、授業に取り組んでいる姿が見られます。
        (1年生担任 Y先生)

放課後、児童クラブでも宿題を見ています。
1学期は、ひらがなを書いたり読んだりすることに時間がかかっていた児童でも
2学期になったら、あまり時間がかからず宿題を済ませるようになりました。
個人差はあるけれど、他の活動に遅れが出ることもありません。
                   (児童クラブ支援員 T先生)

学びの環境としても、読み書きに関するさまざまな教材が用意されています。
個人用にドリルはもちろんアイパットのアプリを使って、ゲーム感覚で楽しく学べるようになっている学校も増えました。

アプローチカリキュラムとスタートカリキュラム

少し専門的な話になりますが、文部科学省は幼児教育から小学校教育に向けて、滑らかな移行ができるようにとアプローチカリキュラムとスタートカリキュラムを幼稚園・保育所・こども園の保育者と小学校の先生が連携して共通のカリキュラムを作ることを勧めています。

アプローチカリキュラムは、入学前数か月の保育のカリキュラムです。
子どもたちが、小学校入学を楽しみに、ワクワクしながら小学校生活に必要な生活の在り方を学ぶようなプランを組んでいます。
その中には、実際に小学校を訪問したり、小学生と一緒に遊んだりしたりという活動も計画されています。
また、遊びの中で文字に興味・関心を持たせるようにして、ひらがななどを学びたくなるように仕向けているのです。
このことから、子どもたちは小学生になる事への期待を高めていきます。

スタートカリキュラムは、入学してから数か月間の小学校教育のカリキュラムです。
子どもたちが幼児教育との大きなギャップを感じることなく、楽しみながら徐々に小学校生活に慣れていくような活動が計画されています。
この中で、ひらがなを意欲的に覚えるように計画された授業としては、国語の授業の中での〈名刺交換ゲーム〉などがあります。
自分の名前を紙に書いて友達と交換していくことで、自然に自分や友達の名前に使われているひらがなを覚えてしまうというものです。
子どもたちは、これを勉強だとは思っていない。幼児期に経験した遊びと同様に、楽しくひらがなを覚えていく授業なのです。

幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿

保育の基本を示している幼稚園教育要領・保育所保育指針・幼保連携認定こども園教育・保育要領において(2017年告示2018年施行)大きな改定の一つのポイント
5歳児修了時までに育ってほしい具体的な姿を明確にし、幼児教育の学びが小学校と共有されるよう改善や工夫をすることということがあげられています。

つまり『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』が10項目明記されているのです。
以下の通りですが、どこにもひらがなを覚えなさいという記述はありません。

  • 健康な心と体
  • 自立心
  • 協同性
  • 道徳性・規範意識の芽生え
  • 社会生活とのかかわり
  • 思考力の芽生え
  • 自然との関わり・生命尊重
  • 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
  • 言葉による伝え合い
  • 豊かな感性と表現

この中で「ひらがな」に関する姿としたら、文字などへの関心・感覚、言葉による伝え合いという姿が該当するでしょう。

つまり、小学校入学までにひらがなを覚えていなくても理由は、ここにもあるのです。

公立小学校では、入学後にひらがなを教えるのが基本

文部科学省が2017年に告示した〈小学校学習指導要領〉では、「第1学年および第2学年」の内容として以下のような解説があります。

平仮名及び片仮名を読み、書くとともに、片仮名で書く語の種類を知り、文や文章のなかで使うこと

漢字は、1年生で80字、2年生で160字を習うために、全国の多くの公立小学校では1年生の1学期のうちに、ひらがな・カタカナをしっかり覚えるようにさせるという国語の授業の進め方が多いようです。

ただ、ひらがなを丁寧に教える学校と、子どもがひらがなを書けることを前提にサラッと授業を進めたり、入学後すぐに連絡帳にお知らせの文章を書かせたりする学校もあるようです。
担任の先生の教育方針にもより、学校の取組や授業内容には大きな差があることも事実です。

ある保護者が、入学後に我が子が連絡帳を書くことがスムーズにできないからどうしたらいいだろうか?という悩みを幼稚園の担任だった私に相談に来たということもありました。
保護者の立場として、入学後すぐには小学校に悩みを訴えることは難しいようで、親しみをもっている幼稚園の方に来られたというケースです。

そこで、幼稚園ではどこまでひらがなを教える教育をしてきたかと小学校の先生に話して、理解をしていただくことができました。
幼稚園や保育所の先生が小学校の先生と親しく話ができる関係になっているならば、保護者も悩みを抱え込むことなく問題解決に向けた改善が進みますね。

小学校入学までにしておきたいこと

小学校入学までには、教えなくても自然にひらがなを覚えてしまう子どももいます。
また、入学当初はまったくひらがなが書けなくても、1学期を過ぎたころには大体の子どもは書けるようになっています。書くスピードに個人差はあるものの、むしろ早く覚えた子どもよりも一字一字を丁寧に書いている姿もよく見受けられます。

しかし、親の立場としたら入学前に何かしておかないと、やっぱり不安はありますね。
文部科学省が幼稚園教育要領に挙げているように「幼児期の終わりまでに育てたい姿」を育てていくことが大切です。
つまりひらがなを覚えさせるのではなく、文字などへの関心・感覚を高めたり、言葉での伝え合いをする機会を多く持つことが望ましいでしょう。

いくつかの方法をお教えしましょう!

遊びを通して、文字に関心をもつ

子どもが文字に関心をもったり、ひらがなを書きたいと気持ちをもったりするためには、楽しく遊ぶことが一番いい方法です。
以下に、いくつか遊びをご紹介します。

【かるた遊び】
ひらがなに触れる遊びとしては、かるたをすることが一番です。お正月から、家族のみんなで楽しむといいでしょう。
幼稚園などでも、ジャンボかるたをクラスのみんなですることがよくあります。
ひらがなを覚えている友達から応援されて一生懸命に札をとって遊ぶうちに、自然にひらがなを覚えてしまうのです。

【郵便ごっこ】
手紙のやり取りを楽しみましょう!
お正月には年賀状のやりとりといういい機会がありますね。
手紙の内容は、文字で文章を書かなくても大丈夫です。初めは絵で自分の思いを表現しているうちに、自分も文字を書いてみたいから教えて欲しいと言ってきます。
その時には、絵の横に大人が文字で文章を書いてやるといいです。
さらに一文字でも書きたいという気持ちが出てきたならば、正確な書き順でひらがなを教えてあげましょう。
手紙をもらったら返事を書くことで、ますます字を書くことに関心が高まります。

【しりとり・あたまとり】
どこでも、誰とでも、少しの時間しかなくてもできる遊びです。
しりとりは、知らない人はいないと思います。語尾に〈ん〉がつくとアウトになるルールですね。
あたまとりは、しりとりに慣れてきたらやってみるといいでしょう。
大人でも考えこんでしまうことがあります。
頭につく文字が語尾につく言葉を探してつないでいきます。かなり頭をつかいます。
たとえば
 しか ⇒ ほし ⇒   ん~?
 いえ ⇒ こい ⇒ ぶらんこ ⇒ かぶ ⇒ いか

しりとりにしても、あたまとりにしても一人でしてもおもしろくない。
人と関わりながら笑い合ったり、助け舟を出したりしながら言葉遊びをすれば、言葉の力はどんどん高まっていきます。
言葉での伝え合いに繋がっていきます。

【ゲーム】
このゲームは、昔ながらの「すごろく」や「ジェスチャー」などです。
いずれも一人ではなく、友達と一緒にルールを守りながら遊ぶということで盛り上がります。
時には、ルールをめぐっていざこざが起きることもあるでしょう。
自分が持っている限りの言葉を駆使しながら解決しようとすることで、言葉の力は大いに高まります。

【ものさがし】
ジャンル・テーマを決めて、それに合うものを見つけます。
「丸い形のものは何?」⇒ ボール  リンゴ 信号機の色が付くところ お茶碗・・・
「4本足のものは?」⇒ 犬 ライオン 猫 椅子・・・へびは足あるのかな?
身の回りの事象に関心をもつことで、子どもの語彙はどんどん増えていきますね。

【文字さがし】
新聞紙を広げて、その中から自分の名前にあるひらがなを探します。一文字でも見つかったら、蛍光ペンや赤ぺんで印をつけていきます。同じ文字がたくさんあったり、なかなか見つからなかったりして集中して新聞紙を眺めているうちに、いつの間にか自分の名前のひらがなを覚えてしまっているから不思議です。
自分の名前が見つかれば、今度はママの名前さがし、次はパパの名前さがし、次々に文字への興味は広がります。
新聞紙がなければ、雑誌などでもいいですよ。

絵本に親しむ機会をもつ

子どもが小さいならば自分で絵本を読むことは難しいでしょう。そんな時には、大人が読み聞かせをしてあげましょう。ひらがなを覚えさせたいから自分で読ませようというような大人の下心があれば、絵本を嫌いになって、文字に関心をもたせることの逆効果になります。

【絵本の読み聞かせ】
まずは、子どもが喜びそうな絵本を読んでやりましょう。毎日毎日違う絵本を選ぶ必要はありません。
子どもは自分の好きなお話ならば、何度読んでも「もう一回!」と繰り返し読んでもらうことを楽しみにします。
繰り返すうちに、文字を見なくてもお話の筋を覚えて話し始め、さも子どもが絵本の文字を読んでいるのかと勘違いしそうな時もあります。

描かれている挿絵と文字が一致したということに気付くと、ストーリーの内容と子どものイメージが共通のものになったということです。
おそらく子どもは、自分の身の回りにある事物にも名前が付いていること、そして文字で表現されているという事がわかってきているということですね。

【図書館を利用】
図書館によっては、読み聞かせタイムのイベントを計画しているところも多いです。
絵本コーナーは、靴を脱いでリラックスして絵本に親しむことができるような環境や雰囲気づくりがされています。
文字の獲得を目的として、大人が本を選んでやることは控えたほうがいいです。
たくさんある絵本の絵の美しさに子ども自らが気付いて、絵本を手にとってみることで、少しずつ文字に関心をもっていきます。お気に入りの絵本が見つかったならば、貸出して、家で繰り返し読んでやるといいですね。
とかく、ひらがなを覚えるためには自分で読むことを強要してしまいがちです。
子どもが覚えたての文字を一文字一文字をたどたどしくたどって読んでは、お話のおもしろさは理解できません。
あくまでも、読み聞かせをすることとひらがなを覚えるということは別だと捉えた方がいいでしょう。

身近なものと名前を一致させる

散歩していて、街の看板や標識などにいろいろな文字が書かれていることを意識させましょう。
「とまれ」などの道路標識はよく目にしますね。
お店の看板にも自分の名前と同じひらがなが使われいてたら、子どもはその発見を喜ぶでしょう。

家の中でも、テーブルに「つくえ」とか、ピアノに「ぴあの」とか文字を表示すると、物には名前があって、文字で表現できるということを意識し、文字への関心はますます高まりますね。
そして子どもが希望すれば、紙に同じように書いてみることもいいかもしれません。

まとめ

小学校入学を目の前にして、「ピカピカの一年生になるんだ!」と子どもは期待を膨らませる反面、親の気持ちは「この子は、まだ十分ひらがなを覚えていないけれど、小学校の勉強に付いていけるかしら」という不安もあります。
そんな時には、誕生してからこれまでどのように成長してきたか、個人差はあるでしょうがその時々を思い出して「いろいろあったけど、こんなに大きくなった!」と子どもの成長を喜びましょう。

ひらがなが書けるかどうかではなく、いかに子どもがいろいろなことを学ぶ意欲を持っているかどうかが大切です。

幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿は、どれも毎日の生活を充実させ自分で何でもしようとする意欲的な姿、つまり生きる力です。
また、遊びを通して考える力、学びの芽を育てていくことが大切です。
それためには、いろいろな物や人と関わりながら、言葉での伝え合いを楽しみながら、子どもが自分の世界を広げていくことが望ましいでしょう。

入学までにひらがなを教えなくても大丈夫です。
親子で会話を楽しみながら、文字への関心を高めていきましょう。


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