帰宅すると子どものおもちゃが散乱した部屋を見て、疲れがドーンと倍増!
親は家事もしないといけない。部屋も片付けたい。おもちゃを出そうとする子どもにイライラ。
そんな時に楽しくスッキリと片付ける方法があるのです。
保育経験38年間そして放課後児童クラブで子どもたちと関わり、さらに保育者養成短期大学で10年間教鞭をとってきた私が、イライラしないその驚くべき片付け方法を教えます。
実は、片付けにはちょっとしたコツと言葉がけがあります。子どもの発達年齢を理解した上で、大人だけがイライラしながら片付けをするのではなく、子どもと共に楽しんで片付けることが大切です。
さらに片付け方をひと工夫するだけで、子どもの数量図形に対する感覚など(小学校算数の基礎)つまり知的能力が身に付きます。
体を使うことで運動機能もグーンとアップするのです。
その効果を考えると部屋をきれいにしようとイライラせずに、子どもと一緒に片付けを楽しんでみましょう。
たとえ部屋がきれいに片付かなくても、子どもと一緒に過ごした時間が楽しければ、大人の疲れやイライラもなくなっているはずです。
こんなにきれいに片付くと、イライラは解消
「きれいにしなさい」を言わないで片付ける。
大人の感覚で、きれいに片付けるということは次のような過程でしょう。
・物をきちんとそろえる。
・いるもの(まだ使う)と、いらない(もう使わない)ものを分ける。
・決まった場所に、決められたものを置く。
・散らかったごみを捨てる。
片付け方がよくわかるように、段階を追って一緒にやってみましょう。
時間がかかっても一つ一つのやり方が分かれば、次からは自分でやるようになります。
その時、一度に多くのことを要求しないことです。
3歳頃の反抗期にいる子どもに対しては、「きれいにしなさい」は逆効果になることもあります。
ひとつの過程ができたことを認める(ほめる)だけでいいのです。
そして「次に、〇〇はできるかなぁ」と子どもの心に揺さぶりをかけてみれば、子どもは
ほめられたことがうれしくて、さらに片付けを頑張るのです。
魔法の言葉
・「ごみは、いっぱい拾わなくてもいいよ。自分の歳の数だけでいいからね」
・「すごいね。~ちゃんは、もうお姉ちゃんになったんだ!(一つ上の年齢を示す)」
・ 一つたくさんごみを拾ったり片付けたりしたら、「もう一つだけ片付けられるかな」
おもちゃの気持ちになって、どうしたらいいか考えさせましょう。
絵本「いやいやえん」は子どもの人気の絵本です、時代背景は少し古いため、今の時代に
そぐわないところもあります。しかし、物語の中で子どもたちがおもちゃの扱いが乱暴だ
ったり、片付けをしなかったりした時、おもちゃたちは列をなして部屋を出て行ってしま
うのです。
その場面を読んだ子どもたちは、片付けをしない自分とオーバーラップして、片付けしよ
うという気持ちになります。
子どもが片付けをしない時には、この絵本を思い出させて、おもちゃに自分のお家へ帰って
きてもらいましょう。
つまり、きちんと片付けることが大切だと気付かせるのです。
きっと子どもは「きれいにしなさい」と言われなくても、主体的に片付けてくれます。
魔法の言葉
- この絵本のお家はどこかな?もう絵本さんは、お家に帰りたいって!
- 折り紙がバラバラになって、お友達が寂しがっているよ。
おもちゃのお家(居場所)を決める。
大人の片付けでも同様ですが、使ったら元あった場所に戻すことが、片付けの原則です。
子どもの片付けも同じ。ただし、細かく場所を決める必要はありません。
かごに片付けるととっても楽ちんです。
- 大きなかごを3つくらい用意
- かごは、大中小で分類
- 時々洗うことができる素材
かごの中に、おもちゃをポイポイ入れるだけでも、部屋の中は見た目すっきりします。
忙しい時には、これで片付けたことにして、時間ができた時に分類まですればいいでしょう。
おもちゃの大きさで分類してもいいし、質感(硬いとか柔らかい)などで分けてもいいでしょう。
このかごは、時々洗うことができる素材が衛生的です。段ボールにきれいな包装紙を貼ったりしているものを見かけますが、いずれ古くなればごきぶりの巣になりますからご用心!
子どもが自分の力で主体的に片付けたという満足感を味わうためには、子どもの領域を決めます。
つまり、その領域内は出来る限り大人は手出ししないで、見守ることが大切です。
しかし、きちんと片付けるための環境づくり(おもちゃを入れるかごや掃除道具の準備など)は、大人の仕事です。
かごに入りきれないほどおもちゃがあるならば、使用頻度が少ないものは処分の対象です。
子どもと話し合い納得の上、処分しましょう。
楽しく遊びながらポイポイ片付ける。
大人にとっても遊びは楽しい。何の強制をされることもなく、自分がやりたいことができれば満足ですね。しかし子どもにとっての遊びは、様々な知識や技能を獲得して、生きる力を身に付ける活動とも言えます。 片付けを遊びにする。
片付けを遊びにする。
片付けという活動を遊びに変えていけばいいのです。
片付けの中にどんな遊びの要素が含まれているか考え、片付けを遊びとして楽しんでみましょう。
片付け方の条件を与え、ゲーム感覚にしてしまうのです。
魔法の言葉
- 5つずつ集めてみようか!よーいドン!
- 丸・三角・四角・・・同じ形のお友達を集められるかな?
- 大きい(小さい)順に並びっこだよ。
ゴミをおもちゃに変身させて、楽しい遊びに!
どうしても捨ててしまいたい物でも、ビニール袋に入れてボール状にすればおもちゃに変身です。
これは実に、サスティナビリティ!
物を大切にすることにもつながります。
ゴミから作った魔法の遊び・・・腕のコントロールアップ
- ゴミ(書き損じの画用紙、破れた折り紙など)をビニール袋に入れてボール状にする。
- 作ったボールをかごやゴミ箱めがけてシュート!失敗しても何度でも入るまで挑戦!
- 親子でボールのキャッチボールも楽しい。
- ビニール袋にカラフルビニールテープでラッピングすると新たなおもちゃの出来上がり。
ビニール袋が破けたら、今度は本当のゴミ箱行きです。
掃除道具を使って、知的・体力アップしよう。
きれいに片付いた(フロアーに物がない)部屋ならば、自動掃除機がきれいにしてくれるでしょう。
しかし、散らかっている部屋ならば、まずフロアーの片付けが必要ですね。その後、ほうき及び掃除機という順になります。
子どもは物を整頓する作業よりも、掃除道具に興味を示します。そこで、フロアーが片付いたならば
〈掃除機〉使用許可の交換条件を出せばいいのです。
もちろんゴミを吸い取って詰まらせる心配がなくなった段階で、積極的に掃除機を使わせましょう。
掃除をしている満足感で、次への片付けの意欲付けになること間違いなしです。
・掃除機の前にごみを集める道具に、〈ほうき〉があります。
最近、ほうきはほとんど使う機会がなくなりました。
それだけに物珍しさから、子どもは積極的に取り組みます。
・柄が長いと先が家具に当たって傷つける恐れがあります。
子どもの体格にあった大きさのものを選びましょう。
柄が長いと先が家具に当たって傷つける恐れがありますから、ご注意!
・〈雑巾〉も子どもは喜びます。
雑巾はウェットシートなどに取って代わられ、今や死語になりつつありますが、
ほうき同様に子どもは珍しさから張り切って取り組み、体の機能アップにつながります。
片付けで知力・体力、体バランスアップ
- フロアーの板の目に沿って雑巾がけで、体のバランス・コントロールする力がアップ
- 雑巾絞って、手先・指先の機能アップ
- 雑巾がけで、全身運動
- 足の親指を立ててバランスをとることで、脳の機能が高まります。
(おまけ・・・大人も雑巾がけは全身を使った有酸素運動でダイエットに繋がりますよ) - 「よーい、ドン!」雑巾がけ競争で、楽しさアップになります。
・〈洗濯ばさみ〉を活用しましょう!
手先がうまく使えない子どもには、クリップやゼムピンの扱いは難しく、もっと散らかってしまう恐れがあります。そんな時には、洗濯ばさみのようなものが便利です。
ばらばらになった折り紙も、洗濯ばさみで
きちんと分類
色ごとにパッと取り出せます。
使いたい色がすぐに見つけられます。
まとめ
大人がイライラすることなく、子どもが主体的に片付けに取り組むようにするには、子どもの発達にみあった方法と子どもの心理状態をうまくコントロールする魔法の言葉が有効です。
決して短時間できれいに片付けさせようとしないで、遊びの感覚を取り入れてやってみましょう。
そのためには、身近な道具を利用し、子どもが興味・関心をもって「私にもやらせて!」という気持ちになるように仕向けたいですね。
経験の積み重ねにより、自分のおもちゃは自分で片付けるようになるし、体力・知的能力まで育っていけば、子どもの片付けはりっぱな学びの一つの活動ということになると思いませんか?
大人がイライラしなければ、親子関係も良くなります。
大人がイライラせずに楽しく片付け!
ぜひ挑戦してみましょう!
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