さっきまで仲良く遊んでいたと思っていたのに・・・
あーあ、また始まった!
顔を合わせれば、けんかする子どもたちにイライラ~
兄弟(姉妹)なんだから、もっと仲良くしてほしいと悩むお母さん
いちいちけんかの仲裁をしていたら疲れてしまいますよね。
私は幼稚園教諭を38年間。
さらに現在は、放課後児童クラブの支援員しています。
3歳から8歳までの子どもたちのけんかには、日常茶飯事に付き合っています。
兄弟げんかに悩んでいるお母さん!
でも兄弟げんかは、社会性が育つための練習なんです。
ちょっと視点を変えるだけでイライラがぐっと減りますよ。
この記事では、子どもたちの成長につながる兄弟げんかの関り方について、お伝えしますね。
3~8歳の兄弟げんかは、なぜ起きる?
子どもの成長にとって、兄弟げんかはとっても大切な経験になります。
でも、この時期の子どもは感情のコントロールが未熟。
だから、兄弟げんかになるのです。
これらの気持ちが、まだまだ発達の途中なんです。
・自分の気持ちを言葉で伝える力
・相手の気持ちを想像する力
・譲り合うという気持ちのゆとり
お子さんの発達に応じて、なぜけんかになるかを考えれば、お母さんの関わり方もわかってきますよ。
まさに、兄弟げんかは「社会性練習の場」です。
そうなれば、「けんか=悪いこと」とは言えないことがわかりますね。
以下は、年齢別の特徴と考えられるけんかの理由です。
お子さんはどうですか・
親の関わり方のコツの参考にしてみてください。
3歳児前後のけんかの特徴
〇 言葉より手が出やすい。
「かして!」「ぼくが使うの~」
「やめて!」「ぼくのだから、取らないで」という言葉(自分の思い)がうまく言えない。
↓
〈たたく〉〈うばう〉というような行動で、自分の気持ちを表現する。

5~6歳児のけんかの特徴
〇 ルールを理解しているものの、その時の感情が優先する。
〈順番を守る〉というルールは分かっている。
しかし、自分のやりたいことを優先したい。
↓
〈わかっているけど、今、やりたい!〉
だから、順番抜かしをしてしまう。
人が使っているものを取ってしまう。
7~8歳児のけんかの特徴
〇 プライドや競争心が強くなる。
勝ち負けにこだわり始めた時期である。
↓
「負けたくない」「ぼくの方が強いんだぞ」
自分のプライドを傷つけられたりすると、衝突のきっかけとなる。
兄弟げんかを振り返ってみたら・・・
〈子どもたちの言い分〉
1 6歳妹・7歳姉
・おもちゃの取り合いをした。
・二人ともお母さんに怒られた。
・でも、姉でよかった。妹でよかった。
2 5歳妹・7歳姉
・ちょっとお姉ちゃんの頭をたたいてみた。
・お姉ちゃんが「何するん!」とびっくりした。
・お互い叩き合いしているうちに、段々ひどくなってきた。
・仕返ししたということで、二人ともお母さんに叱られた。
3 3歳妹・8歳兄
・妹がなにもすることがなくて、兄ちゃんをたたいた。
・そんなに痛くなかったから、二人でじゃれあいっこになった。
・妹がちょっと泣いた。
・お母さんが来て、「お兄ちゃんでしょ!あんたが悪い」と怒られた。
・妹は小さいから、しかたがない。僕は「わかった」と答えた。
4 7歳妹・8歳兄
・けんかもいろいろあるよ。
・楽しいケンカ。何となくのケンカ。めっちゃケンカ。
・妹が悪いのに、、兄ちゃんでちょっと損した。
・怒られている自分を妹が見ていると、腹が立つ。
・妹が弟ならばいいのにな~
★ いろいろな思いがあるのですが、けんかしたからこそ相手の気持ちが分かってくるのではないでしょうか?
兄弟げんかは放っておく?親の介入タイミングは?
見守ってOKのけんか
けんかしても、後腐れのないものですね。
・口げんか
・遊んでいるおもちゃの取り合い
・遊んでいた、活動していた時のちょっとしたぶつかり合い、押し合い など
これらは、大人が介入しなくても、例えけんかになっても子ども同士で解決できるような単純な理由のものです。
すぐに止めるべき、危険なけんかのサイン
体同士のぶつかり合いが激しくなった時
・たたく、蹴るなど体のぶつかり合い
・傍にある物にあたったり、投げたりする。
・泣き叫んで、人の声も耳に入らない。
・興奮して、自力では収拾つかない状況になっている。
対等のけんかではなく、どちらかが明らかに追い詰められている。

親がジャッジしない方がいい理由
もし親が兄弟けんかに介入して、どちらが悪いかとか判定してしまったらどうでしょう?
他人でないから、これまでの親とのかかわり方が、このけんかの仲裁の判定に影響する恐れがあります。
どちらも、お母さんやお父さんは大好き。
そして、どちらの子どもも、お母さんに好きだと思ってほしい。お父さんから「いい子だ」と思ってほしいというのが本音です。
それなのに、、どちらがいいとか、悪いとか判定してしまうと
「いつも、ぼくが悪いって言われる。」
「私は悪くないのに、、、」
えこひいきされているというマイナス感情だけが、残ってしまうのです。
そうなると、親の話なんて聞く耳もたずになってしまいますね。
兄弟げんかで、親がすべき対応
基本は「けんか=悪いこと」と決めつけないで、じっくり見守ってやりましょう!
まずは、安全確保
けんかは、社会性を育てるチャンスといっても、怪我をしてしまっては何もなりません。
お互いの体を傷つける〈たたく〉〈蹴る〉〈投げる〉などは、辞めさせましょう。

〈幼稚園でのけんかの安全確保〉
子どものけんかは、いつ始まるか分かりません。
常に子どもの遊ぶ様子を見ていなければなりませんが、
年齢が低いだけに、泣く、物を投げるなど
男児に至っては、取っ組み合いになることもしばしばあります。
子ども同士のことだから、取っ組み合いになっても
噛みついたりしなければ、大丈夫。
一番危ないことは、
押し合ったりして、周りの道具類にぶつかってそれが崩れたり
道具の角にぶつかったりすることです。
狭い場所でのけんかが危ないのです。
そこで、けんかの一時ストップをかけます。
(けんかしていても言うことを聞いて、何?という表情をするから、
かわいいです。)
T「ちょっと待ってね。ここは危ないから、広いところに行ってけんかしようか?」とか
T「まわりのお友達も、けんかして危ないものは片付けるから手伝ってね。」
すっかり、安全が確保されたら
T「はい、けんかのスタート!」
外野の子どもたちが観客になります。
安全確保の時間があったことで、ヒートアップしていた頭もちょっと落ち着くから不思議です。
状況を言語化して落ち着かせる
けんかしている様子を、再現ドラマとして実況中継してみましょうか?
けんかの頃合いを図って、当人たちにたずねます。
つまり、そこまでの振り返り(けんかを始めたきっかけなど)をさせるのです。
「そこで、おもちゃを取られたんだね。」
「順番があることを知らなかったんだ!」など大人として推察したことを両方に聞きます。
そうすることで、どうしてけんかになったのか、当人たちは気付くことができるのです。
けんかの原因が、自分にあるのか?相手にあるのか?
勘違いなのか?
自分なりに気付くことで、子どもは落ち着いてきますよ。
解決策を一緒に考える
状況を言語化してあげることで、自分の思いを言葉で表現することができるようになります。
そこで、
「何に腹がたって、こうなったの?」
「次は、どうしたら良かったと思う?」
「あなたは、どうしたかったの?」など
状況に応じて、子どもの気持ちをもっと引き出してあげましょう。
子どもは、一生懸命に考えて、けんかの原因や解決策を考えるようになりますよ。
決して、親が答えを出しすぎないことが大切です。
けんかしている子どもへの関わり方
兄弟げんかが、他の子どもとのけんかと違うことは、親の愛情の奪い合いが絡んでくることです。
年齢が上の子に対して
〈ポイント〉上の子に我慢させすぎない!
「あなたは、お姉ちゃんでしょ!」
「お兄ちゃんのくせに、、、」と言っていませんか?
子ども自身、自分が年上だからという意識はあり、気持ちは大きく揺れ動いています。
しかし、親から言われると反発したくなる。
兄でも姉でも、弟や妹と気持ちは変わりません。
〈上の子に対して〉
・上の子としてのプライドを大切に
・上の子の気持ちをしっかり受け止めて
・上の子が安心するための家庭のルールを
↓
「嫌だったんだね」
「きちんと気持ちを教えてくれてありがとう」
「あなたの気持ちは、お兄ちゃんとして大切だね。」
「お姉ちゃんとして、どうすれば良かったのか教えてね。」
↓
あなたの日頃からの行動を、
お母さんはよくみているよ。
あなたを信じているよ。
という思いが伝わるような声掛けをしてあげましょう。
年齢が下の子に対して
〈ポイント〉 ”泣けば勝ち”を防ぐ対応
上の子とわずかしか歳が離れていないとしても、親としては下の子が幼く見えてしまうのです。
だから、つい甘くなってしまう。
下の子どももいつの間にか、親の心理をつかんで要領よく立ち回っている。
お母さん!思い出してみましょう。
上のお子さんが、今の下のお子さんと同じ年齢の時にはどうでしたか?
案外、自立させようと思われていたのではないですか?
下の子であれ、ルールを守ることは必須です。
これが、上の子との公平な関係であり、社会性の育ちに繋がっていくのです。
〈下の子に対して〉
・下の子にも、ルールを守るような声掛けを
・下の子が、順番を待つことができるような工夫を
・下の子が、自分の成長を感じられるように
↓
「嫌だったんだね」
「でも、たたくのはダメよ。もう赤ちゃんじゃないから。」
「言葉できちんと伝えようね」
「順番が守られるようになったら、もっとお兄ちゃんになるよ。」
↓
甘えたいという気持ちを受け止めてやりながらも、
下の子なりの成長を認めることで
大きくなりたいという願望をくすぐってやりましょう。
兄弟げんかで、親がやってはいけないNG対応
×どちらか一方を悪者にする。
↓
・親に対する恨みばかり大きくなる。
・ますます兄弟間に溝ができて、心のけんかになってしまう。
↓
〇「どちらが悪いか」よりも「どうしたら、うまくいくかな?」と考える方がいいですね。
×感情的に怒鳴る。人格否定をする。
↓
・「もう知らない!」という言い方は、親に見放された、突き放された感じ。
・根本的な解決につながらない。
↓
〇「なんでそんなことをするの!」よりも「叩くことは危ないよ。わかるよね。だからやめようか」がベストですね。
「悲しかったんだね」「貸したくなかったんだ~」と子どもの気持ちを理解して、それを
言葉で表現してあげたいですね。
×すぐに親が解決してしまう。
↓
・親の自己満足に終わって、子どもの学びが減ってしまう。
・子どもたちが、自分で解決する力を育てる機会を奪ってしまう。
↓
〇「どうすれば良かったんだろう?」と、子どもが考えることができるように投げかけてあげましょう。

兄弟げんかを成長につなげる親の関わり方
兄弟げんかは、社会性の発達のための練習です。
そのことを意識して、兄弟げんかを見守っていきましょう。
関わり方の基本
① どちらか一方を悪者にしない。
けんかのきっかけは何であれ、親が介入した時には、自分の方をいい子だと思ってほしいという子どもの気持ち。
つまり、親の愛情を測っているのですよね。
けんかで負けたとしても、親が自分を愛していることが分かれば安心。
だから、親はけんかの場面ではどちらの味方もしないことが鉄則です。
➁ その時の行動だけを注意する。
兄弟げんかを見ると、親もイライラして、感情がヒートアップ。
本当は、目の前のけんかだけを見ればいいのだけど、つい
「いつも、そうでしょ!」
「この前もそうだった!」なんて過去のことまで持ち出してきて、
兄弟げんか+親のイライラで、もっとひどい状況になってしまう恐れもありますね。
③ 感情を言葉にしてやる。
けんかを収める一番の方法は、前述しましたが
けんかの理由や経過、その時の気持ちを振り返らせることです。
「それで、どういう気持ち?」
「どうしたかったの?」など
その時の気持ちを尋ねたり、代弁したりして、言語化することが有効ですよ。
感情の言語化により、子どもは冷静になってきます。
兄弟げんかに対する家庭での工夫
① 一人ひとりと向き合う時間を作る。
兄弟げんかは、親の愛情の取り合いもひとつの原因。
それならば、子ども一人ひとりにしっかりと関わって、
お母さんは、あなたのことをしっかり見てあげているよということを分からせてあげましょう。
➁遊びのルールを明確にする。
年齢が低いと、ルールの理解が難しくてけんかになりますね。
おもちゃを使う順番とか、片付け方とか。
また、お兄ちゃんやお姉ちゃんのおもちゃを勝手に触ったということも、けんかのきっかけ。
子どもの発達に合わせて、家庭でルールを決めるといいです。
それには、兄弟姉妹揃って話し合い、ルールの共有化をしましょう。
お父さん、お母さんが話し合いに加わり、証人になるといいです。
ただし、話し合いの主は子どもたち。
あくまでも、親はオブザーバーです。
③兄弟が協力できる遊びを取り入れる。
けんかはしても、兄弟姉妹基本は仲良し。
妹弟は、兄姉の動きを尊敬し、
兄姉は、弟妹を労わるような遊びを計画してみましょう。
兄弟げんかの時に読んだらいい絵本
兄弟げんかの後で読んであげるといいですが、けんかしていた子どもたちに対して、お説教のような形では読まないでくださいね。
〇 『ちょっとだけ』 作*瀧村有子 (こぐま社)
弟や妹が生まれて、”お兄ちゃん” ”お姉ちゃん”になった子どもの気持ちに寄り添う絵本。
上の子の「がんばっている気持ち」を代弁してくれるので、兄弟げんかが増える時期にぴったりの絵本。
〇 『おこだでませんように』 作*くすのきしげのり (小学館)
悪い子ではないのに怒られてしまう子どもの切ない気持ちを描いた絵本。
上の子の気持ちに寄り添いたいときにおすすめです。
〇 『きょうはなんのひ』 作*瀬田貞二 (福音館書店)
姉弟のやりとりが温かく、兄弟の関係性を見直すきっかけになります。
〇 『わたしのせいじゃない』 作*レイフ・クリスチャンソン (岩崎書店)
「いじめ」がテーマだけど、自分の行動が相手にどう影響するかを考える絵本。
兄弟げんかの「気持ちの理解」につながります。
〇 『ぼくのニセモノをつくるには』 作*ヨシタケシンスケ (ブロンズ社)
相手の立場になって考えることの大切さが学べます。
兄弟間の「なんでわかってくれないの」に聞く絵本です。
〇 『ふたりはともだち』 作*アーノルド・ローベル (文化出版社)
ガマくんとカエルくんの友情物語。
ケンカしても仲直りできる関係の大切さが自然に感じられます。
〇 『ごめんね ともだち』 作*内田麟太郎 (偕成社)
オオカミとキツネくんは仲良し。でもけんかをした。仲直りがしたくても
「ごめんね」が出てこない。心の中では『ごめん』が言えるのに・・・
人気シリーズです。
感情を言語化することの大切さも伝えています。
まとめ
兄弟げんかに関わる親の立場は、スポーツでいえば「審判」ではなく「コーチ」です。
アウトかセーフと判断するのではなく、けんかが後々の人間関係をよくするために
どうしたらいいかを教えてあげる役なんです。
兄弟けんか=悪いこと・・・としてとらえると、「また、始まった!」とイライラしますよね。
でも兄弟げんかは、社会性を育てるための練習だと思えば、
よほどのことがない限りは、放っておけばいいのです。
そうすれば、イライラした気持ちが軽減してきませんか?
兄弟げんかのコーチ(親)がすることは
・子どもの安全を守る。
・気持ちを言葉で表現するお手伝いをする。
・どうしたらいいか、解決策を一緒に考える。
この3つだけ!
兄弟げんかを収めようとか、それぞれに悪かったことを意識させようなんて
完璧を目指す必要はありませんよ。
兄弟げんかは、発達していく上で必要なんだと
ちょっと視点を変えて見守りましょう。
きっと、イライラせずに楽しく子どもたちを見ていくことができますよ。

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