何でも欲しがる子どもに対して、その理由に応じた親の正しい対応方法!

問題行動

子どもたちの周りには、物であふれています。
新商品のCMはどんどん流れてくる。
ゲームもグレードアップして、次々に新しいものが登場し、欲しくなる気持ちはわかる。
親としては「友達も持っているんだよ」というような子どもの訴えを聞くと
できれば買ってあげたい。
子どもの喜ぶ顔が見たい。
でも、それって我慢のできない子どもを育ててしまうことになるのでは?
子どもの物欲を納得させる対応法はないかしら?
というパパやママの悩みはたくさんですね。

38年間、幼稚園教諭としてそのような悩みを保護者からたくさん聞いてきました。
また現在、保育者養成短大の講師として、保育者の卵たちに「保護者のお悩み相談」どのような
対応が効果的かを伝えています。


子どもの物欲に対して、親はどのように対応すれば子どもの気持ちは落ち着くかをお教えしましょう!

何でも欲しがる子どもに対する親の対応

1 買い物に連れて行かない。
ママと一緒にお買い物に行って、スーパーの棚に並んだたくさんの品物を見れば、欲しくなるのが当然です。大人だって、ついお菓子に手が出てしまう。
そんな品物に出会わないようにすれば、欲しいという気持ちは沸いてきませんね。
例えTVのコマーシャルで見たとしても、
スーパーの陳列棚の前で、わがままを言う子どもに対して
「欲しいよ!」「今日はダメ。今度ね。」「いやだ~いる~」と人目を気にしてやり取りすることもなくなりますね。

今は便利です。
宅配便、ネット購入、生協など、買い物に行かなくてもある程度の必要な物を購入できます。
無駄遣いをすることなく、また、子どもを連れて買い物に行くという手間も時間も省けますね。

2 本当に子どもが欲しいものは、イベント(誕生日・クリスマス)と決める。
大きなプレゼントは、誕生日やクリスマスだと決めておくことが大切です。
幼児ならば、いつ自分の思いが叶う(欲しいものを買ってもらえる)のかはっきりすれば、その約束を守ることもできるようになります。
また、楽しみに待って自分の物にしたプレゼントは喜びも大きく、物を大切にする心を育てます。
感情をコントロールし、我慢するという強い心を育てることにもなります。

3 スーパーなどに行く時には、あらかじめ約束をしておく。
大人だってスーパーの陳列棚に並んだたくさんの菓子をみたら、ちょっとかごに入れてしまいがち。子どもだってそうです。
スーパーに一緒に行く時には、「今日は、お家の必要な物を買うから、Aちゃんの欲しいものは絶対に買わないよ。」と約束しておきましょう。
時には、今日は「〇〇円までならばいいよ。」と金額をきちんと決めて、その中ならば好きな物を自分で選んで買うようにするとどうでしょうか。
いつもダメではなく、買ってもいい日があることで、子どもは買っていい日を楽しみにしたり、自分で金額を考えて購入するという計画性・主体性が出てきますね。

また、お約束を守ったことをしっかり認めてあげましょう。
約束を守れたから、次に行った時には買ってあげるということならば、パパやママは、自分の事をわかってくれているんだという安心感、信頼感が深まります。

4 お金のありがたみが分かるようにする。
お小遣い制にすると、自分でお金の管理をする力が育ちますね。
(ただし、ある程度お金の価値が理解できるようになってからです。)
時には、お家のお手伝いをしたから〇円あげましょう。という取り決めがあってもいいかもしれません。

自分の労働力が、欲しい物を買うための手段になるのだという金銭感覚を育てることになります。欲しい物を手に入れるためには、わがままをいうのではなく、子どもなりにも考えさせることが必要です。
パパやママも自分の欲しい物を買うために、一生懸命に働いている。
このことを理解させると、めちゃくちゃなわがままを言わなくなるでしょう。
ただし、お金をもらえないとお手伝いをしない!ということにならないように、お子さんとはしっかり話し合うことが大切です。

5 本当に欲しいものではないけれど、欲しいという言う時は、他の理由がある。
あまりにも物欲が強かったり、わがままがひどかったりする時には他の理由が考えられます。
本当に欲しいのではなく、もっと他に求めているものがあるのではないでしょうか?
いつ頃からわがままがひどくなったか、聞き分けが悪くなったかを考えてみたら、思い当たるかもしれません。
下に妹や弟が生まれた時?
幼稚園や保育所に行くようになった頃?
パパやママが、いろいろな都合で忙しくなった頃?
お子さんは自分の心が満たされていないことを感じ始めた頃から、物を買ってもらうことで
埋め合わせをしているのかもしれません。


TVドラマでは、お金持ちで何でも持っている子どもよりも、貧乏でも家族みんな笑って楽しく過ごしている子どもの方が幸せという場面があったりします。
物欲は、心が愛情を求めていることの訴えの表れかもしれません。

何でも欲しがる子どもの心を知る

子どもが「~がほしい!」と言うときの理由はいろいろあります。
上記の5のように、物ではなく愛情ということもあります。
子どもの心理を理解することで、パパやママの対応方法を具体的に考えることができます。

  1. 所有欲
    今、流行しているものを人よりも先に持っていると、当然、友達からは「いいなぁ」とうらやましがられます。
    自分が注目されることで、得意になり、自分がみんなより一歩先に行っている気がします。
    子どもにすれば、心地よい感情でしょう。
    特に他に友達より秀でているものがないと感じている時こそ、物欲は強くなります。
  2. 憧れ
    友達やTVのキャラクターと同じものを持っているということは、自分も同じ立場になった気がします。
    それを持っているだけで、自分も人から憧れる存在になったみたいでうれしいものです。
    特に身近な人で、かっこいいなぁ、ぼくもあんなになりたいなぁと思っている時には、同じものを持つだけで自分も偉くなったような気持ちがしますね。

1の所有欲、2の憧れからくる感情は、ある程度、自分と周りの関係性が理解できるようになったということの表れでしょう。さらに、そうなりたいという気持ちは、成長の中での自然な感情だといえます。
目標とするモデルの姿があってこそ、主体的な発達・成長につながりますね。

3. 自分に目を向けてもらいたい
 1や2は自分の周りに対する感情が中心でしたが、もう一つの注目されたい感情は、親に対する ものです。
パパやママが忙しくて自分に構ってくれない、自分に無関心であると感じた時のことです。
「~が欲しい!」と欲求した時に、パパやママはどうしますか?
すぐに買ってあげたとしても、それほど欲しいものではなかったということが多いのです。
そんな時には、手に入れたとしてもすぐに関心がなくなり、おもちゃ箱でほこりをかぶってしまうことになりかねません。

パパやママならば、お子さんが「欲しい」「買って!」と言った要求に対して、その理由を聞きますよね。
何も言わずに、すぐ買ってあげるパパやママだったら、子どもは「ぼくのことをあまり考えてくれていないんだ」とさみしい気持ちになるかもしれません。
つまりお子さんは、「買って!」という自分の要求に対する親の出方(対応)で、自分に対する愛情を計っているのかもしれません

何でも欲しがる子どもの心に応える

何でも欲しいという気持ちを受け止めてやる

子どもとしたら欲しいものは、欲しい。これは当然の思いです。
しかし感情をコントロールし我慢をさせるためには、理由はなんであれ、
まずはお子さんの「欲しい」という気持ちに寄り添ってあげましょう。
「欲しいんだね~」
その言葉だけでも、パパやママは自分の思いをわかってくれているんだとホッとした気持ちになります。
お子さんが、親の言葉に聞く耳を持ってくれた段階で、次のステップです。

何でも欲しいという感情をコントロールすることを教える

「なぜ欲しいの?」
「それを買ってあげたら、どんな気持ち?」
「今は、パパもママもお金がなくて買ってあげられないの。どうしようか?」
「今度の誕生日まで、待ってくれたらママはうれしいな~」
「もしAを買ってあげたら、他に欲しいと言っていたBを買うことはできなくなるよ。」

それに対してお子さんは、なんて答えるでしょうか?

「みんな持っているから、ぼくも欲しい。」
「Bは買わなくてもいいから、みんなが持っているAの方を買ってほしい。」
「やっぱりBはいらない。」

なせ欲しいのかを、お子さんは自分の心に問いかけます。
親の投げかけにより、本当にそれが欲しいのかどうかが分かってくるはずです。

大して欲しくない物でも、みんなと同じになりたいからなのか、
それとも、ただわがままを親に言ってみたかったのか、言葉に出してみることで自分なりに気持ちを整理することができるはずです。
自分の心の葛藤が解決できたらきっと・・・
「じゃあ、我慢する。」と答えてくれるはずです。

お子さんの心は揺れ動いています。
パパやママがしっかり話を聞いてあげることで、『欲しい』という感情はコントロールできるようになるでしょうね。
子どもなりの言葉で、なぜ欲しいのか説明させてみましょう!

T先生
T先生

〈N子ちゃんのお家の取組・・・家でルールを決めている〉
N子ちゃんはもう中学生になっています。
でも、同年齢の子どもが持っていないような物を持っています。
N子ちゃんに聞いてみました。
「それは、お家の人に買ってもらったの?」
「少し(金額が)高いよね。よく買ってくださったわね。」

N子ちゃんのお家は、普通の会社員の家で決して大金持ちではありません。
N子ちゃんのママに聞いてみました。
「N子ちゃんが、物を欲しがった時にはどのように買い与えていますか?」

N子ちゃんのママは、説明してくれました。
「我が家では、子どもが欲しいと要求してきたものをすぐには買ってやることはありません。でも、なぜそれが欲しいのか、きちんと説明させるようにしていました。小さい時から、その習慣です。

「いわゆる家族の前でのプレゼンテーションをさせるのです。」
 1 なぜ欲しいのか
 2 いつまでに欲しいのか
 3 どのような使い方をするのか(独り占めしない、兄弟仲良くなど)
 4 大切に扱うか
 5 買ってあげたことで、お家の手伝いなどするか

「それについて、家族のみんな(パパやママ)が納得したならば、少しくらい高価な物でも買ってあげることにしていました。」
「小さい時から、何か欲しがる時にはこの方法を取っていて、N子も自分の思いを表現することに慣れてきていました。」
そのためか、N子ちゃんは欲しいものは購入計画をきちんと立てる子どもになったそうです。
それほど努力して手に入れた物だから、大切にしているようです。

N子ちゃんの家のように、すべての家で行うことは難しいかもしれません。
でも、その家でのルールを決めておくと、子どもも納得しやすいのではないでしょうか?
さらに、このプレゼンテーションは自分の思いを伝えるための表現能力を高めていくことになりますね。

何でも欲しいを我慢しようとする心を認めてあげる

「欲しい」「我慢する」「やっぱり欲しい」「やっぱり我慢する」・・・
葛藤しながらも、一生懸命に自分の気持ちを整理しようとしているお子さんの姿を認めてあげましょう。
どのように欲しいという気持ちを整理するか、パパやママは、ご自分の経験から助言されるといいでしょう。
パパも子どもの時に、そんなことがあったんだ!
それからパパはどうしたんだろう。
ママは、わがままを言って買ってもらったけど、買ってもらったらそんなに欲しい物じゃなかったんだって・・

また、家庭の状況(経済的なこと、兄弟への配慮など)を理解させると、自分も家族の一員という自覚が芽生えてきます。
そして、我慢できたことに対しては、しっかりパパやママはうれしいと伝え、お子さんの成長を喜んであげましょう。
買ってもらえなかったことはガッカリしても、パパやママが自分を認めてくれたことの喜びが大きくなります。 

何でも欲しいと思うことへの代替案を提案しましょう!

買うことを我慢したお子さん。
ちょっとかわいそうだったかなと思う親心もありますね。
我慢したけれど、もっといいものを作ってみようと提案されてはいかがでしょうか?
欲しいものがおもちゃだったら、
「どこのお店にも売っていないもの」「誰も持っていない世界で一つのもの」という提案です。
子どもたちは、結構この投げかけに飛びついてきますよ。

親子で手作りすることもいいです。
日頃使わせてもらえない大工用具などをパパと一緒に、
ちょっと危ないからと触らせてもらえない針と糸をママに教えてもらったり、
欲しいものの代わりになるのは、親子で作る楽しい時間です。

欲しいものをすぐに買うよりも、きっとお子さんの心に思い出という宝物かできるでしょう。
手作り、工夫する楽しさ、パパやママの愛情たっぷりの材料で創造力も育ちますね。

何でも欲しいという子どもに対して、親のNG対応

とにかく我慢させようと「ダメなものは、絶対にダメなの」の一点張り。
「我慢しなさい」
「よそはよそ、うちはうち」
お子さんの思いをとにかく一方的な言葉で却下することは逆方向です。
パパやママに対しての不満が膨らみ、反抗はひどくなるばかりでは困りますね。
将来、どうしても欲しいものを手に入れるために嘘をついたり、非行に走ったりということも考えられます。
お子さんが納得できる説明をしてあげましょう。

お子さんがなぜ欲しいのか、絶対にそれがいるのかどうかを考える時間を持たせてください。

まとめ

お子さんが、友達の持っているものを欲しがることは、友達に対する憧れ、共感性、仲間意識などの心の表れであり、成長の一つの姿でしょう。
特に、幼稚園や保育所に行くようになると友達との関わりも増えて、世界が広がります。
その中で、見聞きしたり経験したりすることで、いろいろな物を欲しがるのは当然なことです。

しかし、子どもが欲しがるままに何でも買ってあげるわけにはいきません。
かわいい子どもの喜ぶ顔を見たいのは、親の心理として当然なことですが、そんなことをしたら我儘で物欲の強い人間に育ってしまいます。

お子さんの意志を尊重してやりながらも、自分の気持ちを言葉で表現する機会をもたせてあげてください。
欲しいという気持ちを我慢する自己コントロールの力をつけるようにサポートしてあげてください。
お子さんが納得するためにも、家庭でのルールを決めておくことも大切ですね。
パパやママの体験を話してあげ、お子さんが主体的に、かつ意欲的に生活していけるように成長をあたたかく見守ってあげましょう。





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