10月31日はハロウィン。
最近は日本でも、クリスマスと同じくらいに子どもたちが楽しみにする行事になってきましたね。
「トリック・オア・トリート」と言ってお菓子をもらうこともうれしいけれど、ハロウィンに関わるさまざまな事を知って取り組む方が、子どもたちともっと楽しく過ごすことができるでしょう。
ハロウィンにはなぜ、家々を回ってお菓子をもらうの?
なぜ、壁面には蜘蛛が飾ってあるの?
なぜ、かぼちゃのランタンなの?
そもそもハロウィンって、怖い行事なの?
こんな疑問を子どもたちが持ってきた時、保育者はどう答えてあげますか?
私は38年間幼稚園教諭をしていて、様々なイベントの楽しい取り組みについて研究してきました。ハロウィンを思い出に残る楽しい行事にするために、そんな子どもたちの疑問に答えて、みんなで準備していく保育活動についてお伝えしますね。
幼稚園や保育所で自分のクラスの実態に合わせて、ハロウィンにちなんだ取り組みをしていきましょう。
もちろん、パパやママもご家庭でのハロウィンの過ごし方の参考にしてもいいですよ。
子どもの発想を活かしたハロウィンを楽しんでみてくださいね。
ハロウィンは何をする?たくさんの疑問に答えます!

ハロウィンの由来は?
ハロウィンの起源は、古代ケルト民族が行っていた「サウィン祭」にあります。
ずっと昔(今から2000年くだい前)から、古代ヨーロッパのケルト民では秋の収穫を祝うと同時に悪霊を追い払うお祭りがありました。このお祭りがキリスト教に伝わり、今ではアメリカでクリスマスの次に大きなイベントとして行われています。
これは1年の終わりとされていた10月31日に、先祖の霊が戻ってくると信じられていた風習で、人々は仮装をして悪霊から身を守ったとされています。
のちにキリスト教の「万聖節(All Saints’ Day/11月1日)」の前夜祭として取り入れられ、「All Hallows’ Eve」が短縮されて「Halloween」になりました。
現在のような形に変化したのはアメリカでの風習が発展したものなんです。
こうしたハロウィンの背景を知ると、ただの仮装イベントではなく、文化理解の一環としての価値も見えてきます。
子どもたちには理解しずらいかもしれませんが、保育者は理解しておくとハロウィンの取組も意欲的になりますね。
トリック・オア・トリートの意味は?
「お菓子をくれないといたずらするぞ」
トリック・・・いたずら
トリート・・・訪問やもてなし
つまり、お菓子をくれないといたずらするぞ!という脅し文句ですね。
ただし、子どもたちはオバケになって家々を訪問するわけですが、いたずらする前にきちんと断っているところがおもしろいですね。
「もし、お菓子をくれないのならば、いたずらするよ」(くれたなら、何もしないよ)と交換条件を出していますから、かわいいオバケです。
訪問された家も、かわいい子どもの訪問が楽しみです。
お菓子をもらって歩くのは、お祭り用の食料をもらって歩く様子を真似したもので、中世(昔)のなごりだそうです。
なぜ仮装してするの?
子どもたちは、もちろんオバケではありません。人間です。
ハロウィンの日には、オバケが人間をあの世に連れて行ってしまうと考えられていました。
子どもたちは、オバケに変装することで人間だと気付かれないようにしたのです。
もちろんハロウィンの日には、本物のオバケも街をうろついているはずです。
その本物のオバケが、変装した子どもたちのオバケを見てびっくりして逃げ出してほしいと考えたのです。
だから、子どもたちの変装は、ちょっぴり怖い?ものになっているのです。

魔女もいます!

なぜ、かぼちゃのランタン?
かぼちゃのランタンは魔除けになるのです。オバケかぼちゃをくりぬいて、目や口の穴を開け、中にろうそくを入れてで照らしたもの。
悪い霊を怖がらせて追い払うために恐い顔のオバケかぼちゃを作り、ハロウィンの夜に家の外に置くのだそうです。
もともとはヨーロッパでは、かぶだったのです。
しかしアメリカにこの行事が伝わった時にかぼちゃの方が馴染みがあるということで、日本ではかぼちゃのランタンになりました。
このランタンは「ジャック・オ・ランタン」(ジャックのランタン)と呼ばれています。
ジャックという男が、オバケをだましてしまいました。
そのためバツとして、死んだ後に天国にも地獄にも行けなかったのです。
ジャックは、ランタンを持ってさまよっているのです。
そのお話がもとになっているそうですよ。
子どもたちは、どんな顔のジャックをイメージするでしょうか?

なぜ、蜘蛛が壁面に描いてあるの?
蜘蛛を嫌う人は多いですね。
しかし、日本でも朝出る蜘蛛はいいけど夜に出る蜘蛛はダメとか言われたりします。
本来は、毒蜘蛛でない限りは、害虫を食べてくれるからいいと考えられています。
蜘蛛に対するとらえ方も二通りあります。
タランチュラのような蜘蛛がなぜハロウィンで飾られるようになったのか、気になりませんか?
ハロウィンは収穫を祝うお祭りで、悪霊を祓うための行事でもありました。
そのため、ハロウィンの日には悪霊が来るのです。
蜘蛛は悪魔の使いというイメージから、ハロウィンの定番になったようです。

なぜ黒猫がいるの?
ハロウィンで登場する黒猫は魔女の使いなんです。
黒猫が魔女の使いとされてしまったのは、その神秘的な漆黒の毛色のためです。
黒一色の身体は暗闇に紛れてその姿が見えず、人の目から逃れることができるため「不気味」「怖い」といったイメージがついてしまったのでしょう。
ただ「黒色」というだけで忌まわしいものと捉えられてしまったのはかわいそうですが、子どもたちは黒猫のお面が大好きです。
自分のイメージで、自由に表現できたらいいですね。
【4・5歳児向け】ハロウィンを楽しく!保育アイデア
ある程度ハロウィンの意義が理解できて、意欲的に活動できるようになった4・5歳児向けの保育活動アイデアです。
安全で楽しく、子どもたちの創造性を高めたり、友達関係を広げたりする遊びを集めました。
もちろんクラスの子どもの実態に合わせて、先生が工夫してサポートすれば、もっと低年齢、そして学童の子どもたちでも十分に楽しめます。
ハロウィン工作遊び
〈壁面作り〉
ハロウィンまでの気分を盛り上げていきたいですね。
一日ですべてを作ってしまわず、イメージを少しずつ膨らませながら、子どもたちと一緒に構成していきましょう!

〈リース作り〉
秋の自然物を使ったリースです。
かぼちゃがついているだけで、ハロウィンです。

〈プレゼントボックス〉
空いた箱や缶に、秋の木の実や飾りを詰め込んで、お部屋のテーブルはハロウィンの雰囲気!

〈お面作り〉
・紙皿や画用紙にオバケの顔を描きます。マーカー利用が簡単ですね。
子どもたちがイメージしているオバケは、どんな顔?
ゴムを付けて、被れるようにするとオバケに変身できます。
目の位置に穴を開けたら前が見えて安全、そして色セロハンを貼ると世界が違った色に見えて楽しさアップですよ。

〈かぼちゃのバッグ作り〉
・色画用紙でかぼちゃ型のバッグを作ります。
持ち手を付けたならば、トリック・オア・トリートごっこで、ゲットしたお菓子を入れることができるので、子どもたちはとっても意欲的になりますね。

〈オバケづくり〉
・壁面のオバケは、黒い画用紙に綿でオバケを形作っています。
シールやビーズなどで飾り付けしたら、いろいろなオバケができました。
こんなオバケならば怖くないよ。
ハロウィンまでのクラスの雰囲気作りに最高です。

ハロウィン仮装パーティー
〈手作り衣装〉
・オバケはカラーポリ袋で作れば、簡単です。
接着には、セロテープを使えばいいし、光るテープで飾りつけしたらきれいです。
帽子やマントだけでも魔女になった気分で、友達とのファッションショーを楽しめます。
・ハロウィン当日この衣装で「トリック・オア・トリート」と先生たちを驚かしてあげようと声掛けしてくださいね。
・子どもたちの好きなキャラクターや動物に変身もOK!
ハロウィンには、黒猫も参加しますよ。
★ポリ袋を使った制作の場合、子どもたちがポリ袋を頭からかぶって息ができなくなる事故に気をつけましょう。
用具の扱いにも、安全面での配慮が必要です。

トリック・オア・トリートごっこ
〈先生も参加〉
・先生たちも魔女やオバケに変身して、子どもたちにお菓子を配ってあげましょう。
いつも一緒に遊んでいる先生たちの変身に、きっと子どもたちは大喜びですよ。
〈ごっこ遊び〉
・好きなものに変身して、ごっこ遊びに展開すれば、自分の思いを言葉で表現する練習になります。お面を付けたり、衣装で変身したりすると、恥ずかしいという気持ちが薄らぎますね。
お友達と一緒に「トリック・オア・トリート!」と大きな声を出すだけでも、表現する力が出てきます。
ハロウィンゲーム
〈かぼちゃボーリング〉
・ペットボトルにオバケの絵を貼って、かぼちゃ型ボールでオバケを倒します。
さあ、何本倒れるかな?
〈オバケ探しゲーム〉
・あらかじめ先生がオバケのカード(オバケ人形など)を隠しておきます。みんなで宝探しのように見つけましょう。
チーム戦にしてもよし。
タイムを計ってもよし。

ハロウィンの絵本・紙芝居
ハロウィンの内容でなくても、オバケがでてくる本でいいですね。
🎃 ハロウィンにおすすめの絵本
- 『トリック オア トリート!』 作:岡村志満子(くもん出版)
仮装した子どもたちが「トリック オア トリート!」と声をかけながら家々を回る参加型絵本。蓄光インクでおばけが光る仕掛けもあり、読み聞かせにぴったり 。 - 『ハッピーハロウィン!』 作:新井洋行(講談社)
ドアをノックすると現れるおばけたち。ページをめくると誰が来たかが分かる仕掛け絵本で、1〜2歳向けに人気 。
- 『ハロウィーンって なぁに?』 作:クリステル・デスモワン(主婦の友社)
ハロウィンの由来や意味をやさしく解説してくれる絵本。少し大きい子ども向けで、学びながら楽しめます 。 - 『ハロウィンのかくれんぼ』 作:いしかわこうじ(ポプラ社)
しかけ絵本で、ページをめくるとおばけやかぼちゃが現れる楽しい内容。0〜2歳向け - 『おさるのジョージ ハロウィーン・パーティーにいく』 作:マーガレット・H・A・レイ(岩崎書店)
人気キャラクターがハロウィンを楽しむ様子を描いた絵本。親しみやすいです。
📚 紙芝居のおすすめ(絵本ほど種類は多くないですが…)
- 『ハロウィンのかぼちゃ』 作:さとうわきこ(童心社)
ハロウィンの夜にかぼちゃが動き出す、ちょっぴり怖くて楽しい紙芝居。幼稚園や保育園での読み聞かせに人気。 - 『おばけのハロウィンパーティー』 作:たかいよしかず(教育画劇)
おばけたちがハロウィンパーティーを開くという、ユーモラスでかわいい紙芝居。怖すぎず、低年齢でも楽しめます。
🎭 選び方のポイント
- 対象年齢に合わせる。(怖すぎない内容を選ぶ)
- 参加型・しかけ絵本は盛り上がる。
- ハロウィンの由来を学べる絵本もおすすめ。
絵本の内容に合わせて、ごっこ遊びに発展してもいいですね。
絵本を通して、ハロウィンの世界を子どもたちと一緒に楽しんでみてくださいね!
まとめ
ハロウィンは、子どもたちにとって「変身して遊ぶ」「お菓子をもらう」楽しい行事であると同時に、異文化に触れる貴重な学びの機会です。
日本には、お彼岸やお盆といった行事がありますね。
このハロウィンはそれと似ているようですが、子どもたちにとっては参加型ということで、保育の現場に急速に広まっていったように思います。
子どもなりにハロウィンの由来を知り、「トリック・オア・トリート」の言葉の意味を考えること、またクラスで協力して準備をしたり、主体的に表現活動を楽しんだりすることで、ハロウィンは、ただのイベントではなく“心の成長”につながる時間”となるようにサポートしてみてください。
保育の中では、子どもが安心して楽しめる工夫をしながら、季節や文化の多様性を感じられるような取り組みをしていきましょう。
そして、保育者も子どもの気持ちになって楽しみましょう!
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